家から公園までの砂道を歩いていると
道の下に川が通っているのに気がついた
道の端まで行き下を覗き込んでみると
スクリーンに引っかかった落ち葉や枯れ枝が小さな池を作っている
道を渡り切ってから土手を降りると砂利道の向こうに先ほど見た池があった
春の日差しが優しく反射してきらきらと光る水面に よく見るとクリオネが泳いでいた
それも一匹や二匹ではない
テレビで見たままの美しい優雅な姿はいつまでも眺めていたくなるほどだった
心臓部のピンク色の光に見惚れているうちに辺りは暗くなり
クリオネ達が川岸に集まってきた
彼らは陸へ上がると無線機で誰かと連絡を取り各々の仕事をしているようだった
そのうち何匹か役職のあるクリオネは青く光る機械を腰につけていた
話の内容から他の平クリオネをGPS管理しているようだった
見てはいけない光景のような気がして 大きめの石に身を隠し様子を窺っていると
一本の連絡を受けてクリオネ達がざわつき始めた
野良のクリオネが見つかったとのことだった
連絡が入って直ぐに移送されてきた野生のクリオネはあっという間に管理職クリオネ達に取り囲まれると
いくつか質問を受け 彼の希望を聞く代わりに組織の一員になることで話がまとまっていた
クリオネ達はそこからの行動も早く
瞬く間に用意された冷却スプレーを野良のクリオネの触覚に吹きかけると
「あー涼しい あーきもちい」
とおじさんの声が聞こえてきた
スプレーの噴射音が止むと 火をつけたロケット花火が野良に渡され
破裂音と共にオレンジ色の炎が夜空に線を描いた
彼がなぜそれらを望んだのかは分からないが
スッキリした顔で野良は野良でなくなった
目の前で起こった流れるような出来事に
流氷の天使と呼ばれ海の中をゆらゆらと漂う姿からは想像もできないほど仕事が早いのだなと驚いた
もう何年かしたら彼にも役職がつくのかもしれない