ふつおた | 梯子ダルマ オフィシャろうブログ

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ラジオネーム:梯子ダルマとして深夜ラジオにメールを送っていた、現在放送作家として働く26歳の男が書くブログです。

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なんだか響きの可愛い「ふつおた」。ラジオにおいてコーナーメールやテーマメールと区別した「普通のお便り」の略称。


僕が初めて聴いたラジオ『おに魂』では、放送中に何度も「ふつおたのコーナー」があり、中高生リスナーの学校での悩みから主婦の方からの相談メールまで、良い意味で「たわいもない内容」のメールがたくさん届いていた。パーソナリティーは時に友達のように、時に親のように、時に担任の先生のように話を聞いて、答えてくれる。ラジオの最大の特徴「リスナーとの距離の近さ」を、最も明確に体現している時間だったと思う。


「だったと思う。」と過去形を使ったのは、最近芸人さんのAM深夜ラジオばかりを聴いていて、なかなかふつおたに触れ合う機会がないから。ふつおたは朝から昼の時間帯、またFMラジオで多く読まれているイメージがある。


「ふつおた」って、実は用語としてはマイナーな方で、ラジオを普段から聞いてない人からすれば何のこっちゃ分からない場合が多い。パーソナリティーをする芸人さんでさえ「ふつおたって何?」と言っていたのを聞いたことがあります。ラジオリスナーだけの暗号、とまでは言いませんが、周波数を飛び越えて使われる共通のワードではある。そんなこんなで僕は「ふつおた」を少し特別なものだと思っているんです。実は。


既に書いたように、ふつおたを通してのパーソナリティーとのコミュニケーションは、まさにラジオの魅力そのものを表しているように思います。スピーカーの向こうでいつも喋ってる人の口から自分のラジオネームが、自分の体験談や誰にも話せなかった相談事が聞こえてくる。ちっぽけな悩みならば、メールを読み上げてもらうだけで成仏しちゃいそうなぐらい嬉しい。


しかも、それに対してパーソナリティーが行うのは「書いてある文章・質問にリアクションする」という単純なものではないんです。彼ら・彼女らがやるのは「呼びかけ」。メールの内容を叩き台にして、差出人に、それに共感する全ての人に話しかける。文面上の処理ではなく対応、演説ではなく対話です。これこそラジオ。素晴らしい。


あと、やっぱり「ふつおたを読んでもらう」って想像以上に贅沢なことだと思うんですよ。ふつおたって、まぁ言い方悪いかもしれないけど、ほとんどは内容つまらないじゃないですか(笑)まぁこれは芸人さんのラジオを主に聴いている僕だからこそ思ってしまうことかもしれないんですけどね。「もう企画ぐちゃぐちゃだから今日ふつおたスペシャルにしようぜ」が冗談として使われるぐらいですから。なかなかの上物エピソードが伴わないと、ふつおたに面白さはありません。もちろん共感とか「そんな考え方があるのかぁ」という意味での面白さでは全然勝りますけどね。笑えるかどうか、という基準の話で。


で、まぁ時間を取って個人のエピソードを語るわけですから、それってやっぱり贅沢ですよね。1人に対して3分、5分とスポットライトを当て続ける。でも「ふつおたのコーナー」に、不思議と疎外感はありません。ただただ全然知らない人の話をしているのに。なんででしょうね。


僕は、あくまでも僕はですが、「クラスメートの相談を教室で話し合ってる感じ」だからだと思います、ふつおたを聞いてられるのは。

「相談ある人?はい、じゃあ山田くん」
『この前こんなことがあったんです』
「なるほどね。どうですか皆さん。先生はこう思います。…」

魅力的な先生、パーソナリティーが1人の生徒の話を広げて、それを授業にまで昇華させているような。一般論を交え教室全体が分かるように話しかける。問いかける。そんな感じです。


それに顔も知らない他人なリスナーであっても、同じ時間に同じ番組を聴いているだけで、クラスメートのような親近感がありますからね。だから学校で例えたかった。同じ番組のリスナーであるということは、たくさんいる生徒の中で偶然同じクラスになったというロマンチックさに通ずるものがあります。

「お前の話、すげぇな」つって。
普段話しかけないような人との、机と机の渓谷を、ゆうに飛び越えてしまうほどの親近感。存分に馴れ合いましょう。「採用おめでとうございます!」と。



というわけで、ネタメールを読まれる喜びとはまた違った喜びがあるんですよね。ふつおたの採用には。「半年に一回、年に一回でいいから、ラジオでふつおたを読まれたいなぁ」と、いつも思っています。これほどまでに「ラジオ聴いてるなぁ」と実感できる瞬間は他にはないですから。

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