New York Times誌
ニューヨークタイムズ誌がCOVID-19検出のためのPCR法について、ある見解を記事にしました。According to a report in the NY Times: “In three sets of testing data that include cycle thresholds, compiled by officials in Massachusetts, New York and Nevada, up to 90 percent of people testing positive carried barely any virus, a review by The Times found.”https://www.nytimes.com/2020/08/29/health/coronavirus-testing.htmlPCR法は検体の中にある新型コロナウイルス(COVID-19)の遺伝子を増幅させ(すなわち増やして)検出されるか否かを評価します。この増幅させるときにサイクル数という表現が使われるのですが、今回の記事での指摘はこのサイクル数。殆ど感染性のないレベルのウイルスもこのPCRのサイクル数の増加により底上げし、陽性(positive)としてしまっている点である。ただ少なからず、このような手法を用いる研究分野に足を突っ込んでいる方は自明のことなのですが、今回の報道はある意味「そりゃそうだ」という印象を受けます。定量PCRという、もともとのターゲット遺伝子の量も測定する技術はありますが、基本的なPCRの利用法としては、PositiveかNegativeか、というスタンス。すなわち定性的な評価になっています。かなり粗く言えば、一般的なPCR法では(量は無視して)ウイルスがいるか、いないかを検証していることになります。ただ危惧しているのは、この話が一般に報道されたときに、検出技術の問題を通り越して、COVID-19なんてのも存在しないんだ、と議論が飛躍することですね。・技術的な問題点・その結果が臨床的評価に与える影響(第三者への感染性があるのか)・定性的評価から定量的評価(ウイルスの量的評価)との兼ね合いというように、各グレードに応じた考察を行わないと危険です。一側面の現象、エビデンスを見て、包括的に「こうなんだ」と決めつけるのはナンセンスでしょう。不勉強でまだ把握していないのですが、今回のようにPCRで無理くり陽性となる程度の微量のウイルスを保有している方がいる。第三者への感染リスクはない。そのウイルス量が後日、サイクル数の少ない低感度でのPCRでも検出されるぐらい増加し、感染性を示す可能性はどの程度あるのだろうか。この辺の情報収集をしてみたいと思っています。ただ海外の知り合いにも聴きましたが、現在COVID-19のPCR検査は、RT-PCRすなわち定量的な評価でもって実施しています。現地ではRT-PCRと評価している。日本でもいくつかレポートを見ているとRT-PCRで実施しているのですが、報道ではなぜかPCRのみ、陰か陽ということに終始している。これは、混乱をきたす一因になるので、もう少しきちんと説明する必要があるのではないか。