ふとテレビをつけると、ドキュメンタリーがやっていました。

 

「三和人材市場 ~中国・日給1500円の若者たち~」

https://www.nhk.or.jp/docudocu/program/92409/2409304/index.html

 

 

そのまま見入ってしまいました。

舞台は中国は深圳。

成長著しい中国有数の大都市で、私も昨年度学会のため、立ち寄りました。

本ブログでも、成長とその裏にある何かについて思ったことをご紹介したのですが、

本番組見ながら、あの時のことを思い出していました。

https://ameblo.jp/lactoyoccus-mem/entry-12328156382.html

 

貧困から脱却するために地方の農村から都市部に向かう人々。

本ブログの不定期掲載、「今日のONEシネマ」シリーズで、”甜蜜蜜”という中国映画をご紹介しましたが

この映画の主人公の男女も、稼ぎをもとめて大都市にやってくるのです。

といってもこの時代は、大陸(中国)から香港に人々は夢と一獲千金をもとめてやってきていました。

https://ameblo.jp/lactoyoccus-mem/entry-12323780839.html

 

 

今回の放送では、大陸内での人の動きです。

90年代生まれの中国の若者は、ご両親が農村ではくっていけず、都市部に出稼ぎに向かいます。

ただ、子供は連れていけない。

そのため子供たちは祖父母に預け、農村に残していくのです。

 

子供たちは成長し、貧困という負の連鎖から脱却するため、都市部、深圳に集うのです。

深圳にある「三和人材市場」ではそのような若者への仕事を紹介する、斡旋市場です。

ただ、話と現実は異なり、賃金の以上に安い状況のもと、学歴のない彼らは、

技術職は得られず、肉体労働以外の職は得られない。

 

住む場所もなく、その日を食っていく三和の若者たち。

追い詰められた彼らの中には、最後の手段。

中国で生きるための身分証明書さえも売ってしまう。

 

その額500-1,500円。

 

 

昨年、深圳での学会の際も、このテレビで見かけたような人々を見かけたことがあります。

宮崎など足元も及ばない大都市の深圳の裏路地や繁華街の隅で、野宿する人々。

 

 

そうそう。

あの時の学会会場は深圳中心部から離れた、美しい沿岸部に位置した巨大なホテルでした。

学会が終わって、深圳に戻る際、移動手段がなかなかなく、タクシーで帰ることにしました。

 

ホテルのボーイさんに、タクシーの手配をしました。

丁寧な物腰で答えてくれるボーイさん。

値段の交渉をしました。

中国版LINEを使って、タクシー運転手と値段の交渉を行います。

ただこのボーイさん英語はいまいちらしく、タクシー運転手の中国語を英語翻訳機を使って

通訳しながらの、交渉となりました。

なかなか骨がおれます。

 

話が落ち着きました。

到着した車からは、えらく愛想のよいおじさん~お兄さんの間の中肉中背の方。

ただ車がいわゆる、タクシーではなく、通常の乗用車です

ボーイと運転手はこそこそ二人で話しています。

 

私は直感しました。

ははーん、これは正規のタクシーじゃないな、と。

 

ボーイと運転手のやりとりを離れてみていると、

どうも運転手が、ボーイの兄貴分の知り合いといったところか。

ペコペコしています。

 

と、私はみのがしません。

ボーイが中国札を運転手に渡しているのを。

額を確認すると、支払い分の7割程度を運転手がもらい、

3割程度をボーイが確保していました。

 

私の直感はぴしゃりです。

なるほど、お互い小遣い稼ぎのため、ホテル業務とは別に

このような裏取引をしているわけですな。

 

 

 

ドキュメンタリーの中の農村のおばあさん言葉が印象的でした

 

おばあさんは教育を受けたことがないので、文字は読めません。

政府が貼り付けていった社会保障に関するチラシも、意味をなしません。

いや、政府は情報を公開していると認識しているのですが、おばあさんにとっては

状況が変わらないのではなく、ますます取り残されていく。

 

インタビュアーが「政府の政策についてどう思いますか?」

 

するとおばあさんは

「考えたこともないねぇ、そんなことは」

と。

 

そうすると、しわだらけの頬に濡れた小さな眼をしまいながら、

「考えても無駄だよ、無駄だよ」

と。

 

 

 

本日の宮崎の空は雨がゆったりやんだりでした。