前回、ここで「男は黙って1コンテナ」という話を書いていて、心に引っ掛かるものがあった。
それは大企業に就職して、そこの上司から「もっとリスクを取れ!責任は俺が取る!」と言われても挑戦する人がそんなに少ないものなのだろうか?…という素朴な疑問である。官僚機構なら理解できる。なぜなら、そんなリスクを取る必要がないからだ。しかし、営利目的の企業なら社員にリスクを取らせて事業を拡張してもらわないと組織自体が衰退するし、執行役員はどうやって人と金を動かしたら事業を拡大できるかを常に悩み抜いているはずなのに。
ネットサーフィンをしていると、今の若い世代の多くが「成功体験を早く積みたい」という焦りに駆られているらしい。本当だとすると、日本の大企業の大半では特に中堅層が内向きになって若手社員に挑戦させないということだろう。私の「兄」もたまに会うと、
「俺もこんな事を言いたくないけど、本当にみんな失敗を恐れ過ぎなんだよな。部長やマネージャー連中が守りに入って何もしないし、たまにやる気がある若手が手を挙げても潰すし、そういう社員は総じて優秀だから異動もさせずに飼い殺しにするんだよ。そうすると当然、その若いのは諦めて無能になるか転職していくんだよな…」
と、愚痴っていた。彼は事業企画部門にいて、営業やマーケティング部門の「尖った」若手を見つけては何度か異動させようとしたらしいが、必ずその直属の部長やグループリーダー辺りが優秀な社員を出したくないと妨害してきたそうだ。
いわゆるそれなりの企業に勤めたのは最初の15年ほどだし、それも工場で使えないと営業に追い出された低評価の社員だった。ただ、日本の中堅以上の企業だと仮にその月の営業成績が悪くても固定給がちゃんと貰えて、さらに労働組合員だとボーナスもそんなに減らないのだから、すごく安心感があった。
長年の綱渡り生活で学んだことは、
「どうせクビになるときはあっという間になるのだから、特に若い時は上司がなんと言おうが、会社の看板を目一杯使って挑戦しなきゃ損」
ということ。何かドタバタしていたら誰かが見ていて、拾ってくれる人もいる。
自分は無能で失敗しかないような労働者だが、それでもオーバーフィフティまで食いつないでこれたのはこれしか思いつかない。