明日が上京して初回の面接なので、床屋へ行ってきた。まだ年末には早いから空いているのかと思っていたら、高齢者で意外と混んでいた。結局、1時間半くらい待って順番が回ってきた。田舎では節約のためショッピングモールに入っている、1200円のカット専門店で済ましていた。よく考えたら洗髪・髭剃りも含めた散髪をするのは今年初めてである。
お客さんは自分以外のほとんどが年金受給者らしい。必然的に話題も「老・病・死」がメインとなる。このあたりは田舎も都会も変わらない。長椅子で新聞を読んで待っていたら、話好きの常連さんに話しかけられた。
「アンちゃん、見ない顔だねぇ。ここは初めて?」
「ええ、先月、田舎の工場をクビになって東京へ仕事を探しに来ました」
「なんか良いの見つかったかい?」
「いや、毎日木場の職安に通ってますけど、中々無いですねえ」
「そうらしいよな。俺の知り合いでも78(歳)で工事現場でニンジン棒振っているのがいるけどさ、この国はさ、ジジイよか若いガイジンの方がいいみたいだよな」
「田舎もそうですよ。工場もコンビニもガイジンだらけですよ。東京は火葬場も中国人が経営して値上がりしてるらしいですけど、せめて自分の葬儀代くらいは遺したいですよ」
「おお、そうだよな。でも、江戸川区は瑞江ってところに火葬場あっからさ、区民だと6万円でお骨にしてくれるぞ」
「そうなんですか⁈とりあえず、失業保険が切れる前に仕事見つけたいです」
「そだな。おいらみたいなジジイは『頑張れ!』としか言えねえけどさ、身だしなみは大事だぜ。人間、見た目が9割だからよ」
東京へ出てきて半月もしないうちに葬儀代の話をするとは思わなかった。とはいえ、明日決まらなくたって何とでもなる!という覚悟はできた…気がする。