お初にお目にかかります、博士課程の曾瑞琪(ぜん るいく)です。

去年の12月に日本に来て、今年の6月からゆっくりと研究を始めていますが、とても興奮しています。今日は、私が今年やってきたことを紹介します。

 

春、小林先生と先輩の助けを借りながら、苗畑に実験で使ういろいろな種類の木の苗を植えました。

 

苗木は寒冷紗で覆って、乾燥しないようにします。

 

夏の間に十分成長させた後、苗を掘り出して、きれいに洗って、分解します。

時々、私は自分が医者になって手術をしているような錯覚を覚えます(笑)。

 

 

8.27-8.30は、私も博士研究で使う予定の、地すべり試験地にも行きました。

 

天気がよくて、空も高く感じました。もう秋になって、朝と晩は少し涼しいです。

急な斜面なので、歩くだけでも難しいです。手と足を一緒に使って登ります。

 

名寄にいる吉田先生の植生調査にも混ぜていただいて、植物の見分け方、地形のこと、野外の安全事項とか、たくさん勉強しました。ありがとうございます!!

 

これから、私も頑張ります。

 

曾 瑞琪

お初にお目にかかります.M1小林悠佳です.
7/15-16に大雪山の五色ヶ原に高山植生の調査に行ってきました.
よく目につく地上部だけでなく,根っこまで調べることが目的です.

2日間本当によい天気でした.

大沼から見えるトムラウシ.

 

二人の巨匠とともに現状確認.

 

40年前と比べて変化の大きい五色ヶ原

 

7/15は忠別避難小屋に宿泊し,小林先生に山でのご飯や装備について教えていただきました.ペミカンから作っていただいたカレーは格別でした.

 

またこんな天気の下で調査がしたいです....!!

小学校の"総合的な学習の時間"で、ミズナラの芽吹きの時期を調べている枝幸町の音標小学校の子供たちと、Zoomを介して交流しました。

 

 

交流会では、この春に観察した”同じミズナラでも大きさによって芽吹きの時期が違う”ことの理由について、子供たちが考えてくれたことを発表してもらいました。自分とおじいちゃんとの違いに置き換えてメカニズムを推察したり、子供たちらしいユニークなアイデアが聞けてとても楽しかったです。

 

また、これから秋までの間に、ミズナラを使って研究を計画しているようで、そこにアドバイスをしました。葉の模様や数、枝の長さやどんぐりの数まで、思い思いに調べたいことがあるようで、秋の成果発表会が楽しみです。

 

小さな子にわかりやすく説明するのはいつも難しいけど、とても勉強になる。わからないことは、わからないと言い続けることの大事さ、そして少しでも”木って面白いなー”ということが伝わっていればと思うばかりです。

 

小林

 

 

 

 

ようやく桜前線も道北に到達し、森の中では、ポツンポツンと渋いエゾヤマザクラ(オオヤマザクラ)やチシマザクラが見頃を迎えています。背の低いチシマの方が開花時期は少し遅め。

 

 

そういえば、写真家の小寺卓矢さんが、道北の豪雪地に生える日本一開花が遅いサクラをモチーフにした写真絵本を出版されていました。

 

 

山の雪もようやく解けたので、山腹崩壊プロジェクトのサイトのメンテナンスなどのをボチボチ始めています。

まずは、更新してきた植物をシカの食害から守る鹿柵の設置です。

 

 

何せ、地面が崩壊するほどの斜度の斜面、柵の設置も一苦労で、手伝ってもらったスタッフたちから”ここは地獄だ”と言う小学生的なコメントをもらうほどでした。こんな日はアイスが美味い。

 

一見何も生えてこないような斜面でも、ちゃんと木は更新し始めているんだから凄いです。こちらイタヤカエデの実生。

葉っぱがシワシワで、早速、乾燥ストレスの洗礼を浴びていそう...。

 

 

長生きしろよ。小林

先週末、新たに研究室に配属された学生たちと、北海道立林業試験場へ行ってきました。

小林が参画させていただいている共同研究で、3日間、ひたすら根っこを洗って、カウントして、測りました。

 

 

 

修士・博士で新たに根を研究対象にしようとしている2人には、根っこ洗い1つとっても?学ぶことが多かったようです。

 

樺戸山地を背景に、白鳥が北へ飛んでいく、天気の良い中での調査でした。

本州ではすっかり桜の見頃。場所によっては、既に散っているところもあるようですが、ここ道北はまだ白い世界。

それでも、日が伸びて、雪が硬くなり、川沿いではヤナギの花が芽吹きはじめます。

 

 

 

この「雪景色と花」という、季節感が違う2者のコントラストが好きで、毎年、ついカメラを手に車を停めてしまいます。ヤナギの花は、冬が長いこの地で、今か今かと春をまつ人に、一足早く”春はもうすぐ”と伝えにきてくれている、そんな存在のようにも思います。

 

この春、修士の学生が1名卒業します。彼女は、山火事が北海道に生えている色々な種類の樹木に及ぼす影響について、面白い発見をしてくれました。ノミを片手に樹皮をはぎ、気が遠くなるほど長い時間をかけて細かい落ち葉を地面から拾っては、それを一瞬で燃やしてしまうという”諸行無常”な実験を繰り返しました。

 

ここ道北で門出を祝うのは、桜のような華やかな花ではありませんが、このヤナギのように、厳しい環境でもしなやかに力強く、新生活を送ってもらえたらと思います。

 

おめでとう!

 

 

雪三昧の正月で、新年が開けました。今年もよろしくお願いいたします。

今年は例年以上に雪が多く、毎日のように除雪していて、良いトレーニングになっています。私(小林)が、道北に赴任してからでは一番の積雪量です。

 

ここ天塩研究林周辺は、これでもかというくらいの冬景色です。天塩川は凍り、常緑針葉樹はクリスマスツリーの体となり、小さな木々は雪の下に埋まって春までおやすみ中です。土の中でも、ミミズなどの生き物が越冬しいています。

 

 

 

 

緯度が高いので、冬至のころには「夕方4時になるともう真っ暗!」というほど、日が短かったのですが、それから1日1日、目に見えて日が延びているのが実感できます。これから厳冬期本番ですが、期待も込めて、その先にある春の気配を感じずにはいられません。

 

この時期、論文書きや解析に煮詰まると、防寒着を着込んで研究室の周りの森を歩きます。マイナス10℃近い冷気が、顔の皮から頭の中まで、シャキッとさせてくれます。

 

ここ道北は、決して便利ではなく、研究者がたくさんいて喧々諤々の議論を毎日している、というような環境ではありません。

 

でも、厳しい自然環境を傍に見て、自分も生物の1つとして体感しながら、寒さに耐えている樹木や土に中の生物の生存戦略に思いを馳せる時間が気に入っています。

 

この森の成り立ちをしっかり記録し、それをできるだけ面白い形で表現できれば...そんな気持ちで楽しんで今年も研究をしていければと思います。

 

コロナが落ち着いて、早く皆さんと飲み明かしながら、研究のことを語り合える日が来ることを願って。

 

 

小林

 

去年から、地すべり後の植生遷移を最も妨げる要因は何か?という疑問を検証する研究プロジェクトを始めています。

詳しくはこちら

 

https://landslide-project.weebly.com/mission.html

 

研究では、人為的に地すべりを再現するという、大胆なアプローチをとっています。重機をもち、それを巧みに乗りこなす熟練オペレータがいて、面積が広い北大研究林だからこそできる大規模な野外操作実験です。

 

8月は、ひたすらその研究サイトの準備をしていました。地滑り跡地(人工)なので、木が生えておらず、日陰がありません。。。真夏の調査ではパラソルが欲しくなります。

 

準備も一通り終わり、いよいよ本観測開始です。

ドキドキとワクワクが入り混じった感じ、何歳になってもいいですね。

 

 

小林

 

 

先日、天塩研究林にある森で、河上くんの実験用にみんなで大量のミミズを集めていたところ、珍しいものを発見。2個体のサクラミミズ、交わっています。

 

 

ミミズの場合、交尾ではなく交接といいます。この動画で、ミミズがどういう状態になっているのかよくわからない方は(わかりにくいと思います)、以下のページのイラストがわかりやすいです。

 

http://www.zennokyo.co.jp/book/kagak/img/mmz_3.pdf

 

この日は、カラマツの根にストローのような口器を突き刺し、チューチュー樹液を吸っているセミの幼虫もみれたりして、普段、中々見ることがない土の中の生物の生活の一旦を直に垣間見た気がしました。

 

 

 

お邪魔しました。

 

小林

 

 

5月下旬、なんと北大研究林内で山火事が発生しました。原因はおそらく火の不始末。降水量が多い日本では、山火事の原因はほぼ全て人間の火の不始末です。

 

身近な場所で山火事。ちょうど?山火事の研究をしている学生にとっては、またとない機会。

ちょうど良すぎて、研究林スタッフから火事発生日のアリバイを聞かれるほど(冗談です。。。笑)

 

というわけで、どんな形態の落葉が燃料としてよく燃えるのか、樹木の幹を火事から守る樹皮は火事後にどんな様子なのかを調べる調査に行って来ました。

 

 

 

 

湖畔にある山火事跡地の風景は、日本離れしていて、まるで北欧のよう。

 

今回の山火事では広さにして約10haが燃え、シラカンバやミズナラの幹がよく焦げていましたが、主に燃えたのは地面の近く。大きな木の樹冠まで火がつくほど強く燃えた場所はほんの一部でした。

 

天気も良いし涼しく、虫も少ない。

外で食べるお弁当も美味しい、気持ちの良い調査でした。
 

 

いつもこんな感じだと、よいのだけどね。