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平成31年4月21日(日)、東京、大阪、3回連続老屋顏トークイベント
「”老屋顔”の台湾レトロ建築の歩き方〔大阪站。これは、4月13(土)、14日(日)に東京で行われたイベントの大阪偏。しかも、太台本屋初の大阪イベントです。
大阪站日程
日時:平成31年4月21日(日) 14:00~16:00
場所:淀屋橋 芝川ビル4階モダンテラス
スケジュール①片倉俊輔さん「大阪~東京 レトロ建築直行便」
②老屋家「台湾レトロ建築 ディテールと物語」
企画・主催:太台本屋
会場となる芝川ビル。レトロな外観に心ワクワク。
昭和2(1927)年、南米マヤ・インカの装飾を纏った芝川ビルが竣工。芝川ビルを建てた芝川又四郎は、鉄筋コンクリートが耐震・耐火性に優れていると知り、鉄筋コンクリートを使い、耐震・耐火性に細心の注意を払い造られました。
芝川ビル:公式サイトは⇒こちら
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20190429/19/la-maison-du-chocolat/95/e5/j/o1080081014399886275.jpg?caw=800)
先ずは、倉方俊輔さんのトーク。倉片さんは、建築史家であり、大阪市立大学準教授。
トークを聴きながらメモした内容をご紹介
・台湾には、日本が見習わなければならないほど、昔の建築を大切にしている
・大阪と台南の共通点⇒都市計画のもと造られた都市。私達の見慣れた風景の原風景がそこにある。
・台湾のリノベーション⇒知的センスと教養に溢れている
・國立台湾文學館(台南)…建物は日本統治時代の1916年に台南州庁として建てられた西洋建築で、建築家は日本人の森山松之助。現在は、台湾文學館として使われているが、建築者森山松之助を紹介するエリアもある。日本では、その様な建設者を紹介するエリアは、あまり見かけない。
※森山松之助…台北上水道(現台北水道博物館:自來水博物館)を造った建築家。片倉さんの講演でも台北上水道が紹介されたので嬉しくなる。
・建築⇒欧米では教養のひとつ。
・北投温泉にある、温泉記念館、石造の柱(西洋)と、木の柱(和風)が同時に見られる貴重な建造物。
・大阪の建築⇒アジアと共にある。
・大阪と台湾の交流⇒おでんを「関東煮」と呼ぶ大阪人が台湾に「関東煮」という呼び名を伝えたのでは?
・レトロ建築を楽しみながら活用
倉片さんのトークは、大阪のレトロ建築の紹介、台湾と大阪のレトロ建築の共通点、台湾のレトロ建築保存への敬意を込めた素晴らしい内容でした。片倉さんの著書、まだ読んだことがないのですが、5月に刊行予定の「京都・大阪・神戸レトロけんちくさんぽ」ぜひ、読んでみたいです。
こちらは、トークの様子
画像は、太台本屋FBよりお借りしました
倉方俊輔さんに続いて、台湾のレトロ建築をこよなく愛する辛永勝さん、楊朝景さんのユニット「老屋顔」のトークが始まりました。こちらも、とても楽しく、レトロな建物を彩る鐵花窗(鉄窓花、飾り格子)や磨石子(人造大理石)の虜になりました。トークは中国語ですが、通訳さんがいるので言葉の壁はありません。
「老屋顔」のトーク、まとめてみました
鐵花窗について
・鐵花窗の製作過程の紹介。画像を通し、職人さんの技を見ることが出来ました。
・基隆には、ハート型の鐵花窗が多い。流行ではなく、ハート型は、造りやすいんだそうです。
・鐵花窗は、色んなパーツを組み合わせ、様々な模様を作れる。ハートもそうですが、孔雀もパーツの組み合わせで作れるそうです。
・雲林には面白い鐵花窗がたくさんあります。見に行きたいな~。例えば、櫻花。細かい部分は、職人によって違うそうです。昔は、日本の職人との交流もあり、一緒に制作していたそうです。
・富士山と飛行機の鐵花窗。これも雲林にあります。1960年頃の作品です。この頃、台湾の経済も良くなり、飛行機で海外旅行をする人が増えたそうです。レトロ建築のディテールは、当時の経済や社会情勢を反映しています。
・抽象的な鐵花窗として、バスケットボールや野球のデザインもあります。
・葡萄や蔦、鳥の鐵花窗⇒子孫繁栄を意味する
・音符の鐵花窗⇒実際に演奏した音源を聴かせてもらいました。日本の曲かな?と思わせる旋律でした。老屋顔のお二人も、これが何の曲か知りたいそうですが、いまだ謎だそうです。
磨石子について
・日本統治時代の建物にも見られる
・磨石子⇒お寺、廟に多い。廟の床に牡丹の花の磨石子。床にあるので絨毯の代わりの様なもの。牡丹⇒財を成す。
・台南の白河にある大仙寺(白河區仙草岩前路1號)の磨石子は必見!絵のように美しい。技術を要する幾何学的模様、動物模様が見事。大仙寺、行ってみたい場所です。
・台南の鹽水にある鹽水天主堂(カトリック教会)。キリスト教宗教画と中国絵画の異色の組み合わせが面白い。そして、キリストの物語が、中国風に描かれている。「最後の晩餐」も、描かれている人物はお箸を持ってます。これは、人々がキリスト教に親しみを持てるようにと願ってのことだそうです。また、「鹽」と「水」を現した人造大理石が敷き詰められています。人造大理石は丈夫なので、人々が踏んでも損傷しないのです。そして、「人が踏んでも丈夫」⇒「永遠」という思いも込められています。
・磨石子で表された模様に込められた願いとは?
ウサギ…子だくさんを願う
数字…その建物が建てられた年
彰化にある電話番号を現した磨石子⇒彰化で初めて電話を引いた人が記念に造った
漢方薬局の磨石子…高麗人参
自動車のディラー…自分の店で扱っていたブランド車のロゴ
まとめ
・建築のなかに、そこで生きた人々や家族の歴史がある
・建物を身近に感じて欲しい
たくさんの鐵花窗や磨石子が紹介され、ひとつひとつの背景にある建築やそこに住んだ家族の歴史を感じることが出来ました、「老屋顔」のトークの後、倉方さんから補足説明がありました。
・「老屋顔」が話した鐵花窗のような装飾は、戦後の日本建築にはない。それは、日本と台湾の戦後の歩み方が違うから。日本は、戦後から建築に対する考え方が変わった。装飾よりもシンプルさを選んだ。シンプルさ、それが近代建築。
・鐵花窗や磨石子⇒台湾にしかない文化であり、日本にはない。台湾と日本の違いを通して、文化を知ることが出来る。
最後に、、「老屋顔」から、台湾の歴史的建造物の保護について教えてもらいました。
・台湾の歴史的建築はランク分けされている。ランクが上の建築は、国家予算で保護。ランクが下の民間建築は、どう残すか、それとも壊すのかが問題。民間建築を商業的に利用して残すのが台湾の特徴。建物は、人が利用してこそ価値がある。
左より、楊朝景さん、辛永勝さん、倉方俊輔さん。
「老屋顔」著書。これは超級推薦です!
台湾レトロ建築案内
最新著書(2019/3/20)
臺灣名建築めぐり
台湾の建築にとても興味が湧きました。老屋顔のお二人が紹介する台湾各地の建築巡りの旅、ぜひ私もやってみたいと思います。
平成で知った台湾の魅力を、令和で実際に体験してみようと思います。