阿信の宇宙人愛

　台湾のバンド「宇宙人」は、五月天にとって弟分のような存在です。阿信大哥は、可愛い弟たちにメッセージを送っています。
　4月5日　
半年前，一個秘密的夜晚，他們帶著十首demo，來到大雞腿找我，當時只是雛形的作品已是結構精采、概念動人。半年後，三位不搭飛行器的 宇宙人，用雙腳爬上喜瑪拉雅山，用雙手帶回完成的這張新作。
月全蝕的今晚，我聽到了第一首......。

半年前、秘密の夜があった。彼らは10曲のデモを持ってきた。
僕に意見を求めて大雞腿スタジオにやって来た。
その時のそれらの原曲は、結構優れた出来栄えだった。
曲の概念（コンセプト）に感動させられた。
半年後、三人は、ＵＦＯに搭乗せず、自分の両足でヒマラヤに登り、両手でこの新作を完成させ持ち帰った。
皆既月食の今夜、僕はこの曲を聴いた…。

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　この記事には、阿信の大きな愛と、遊び心満載の表現がたくさんあります。そして、宇宙人が、阿信を慕っていることもうかがえます。宇宙人の3人、緊張して阿信を尋ねたんでしょうね。そして、その時で終わらず、ずっと見守り続けた阿信の懐の大きさ、深さも感じます。

　さて、ここからは、訳詞に関することです。
まずは…
「大雞腿」、単純に「鶏のもも肉」と訳すにはおかしすぎる。悩みました。
これ↓「大雞腿」です。

気を遣った宇宙人の面々が、差し入れに「大雞腿」を持参して阿信を尋ねたのかとも思いました。ただ、調べてゆくうちに、五月天のレコーディングスタジオに「大雞腿錄音室」という嘘みたいなホントのスタジオがあることが分かりました。
http://www.ettoday.net/news/20120401/35716.htm
http://ent.appledaily.com.tw/enews/article/entertainment/20131028/35396119/
「大雞腿錄音室」
　そうなんです、宇宙人は、阿信の住居ではなく（笑）、このスタジオを訪れたのです。まぁ、考えたらそうなんでしょうけどね。でも、手土産、「大雞腿」かな？気になるわ～。

そして、「三位不搭飛行器的 宇宙人」ですが、直訳すると「三人は宇宙人の飛行用乗り物に搭乗するのではなく」です。彼らを本物の宇宙人と見立てて文章を構成する阿信の文学的センスが光ります。この部分は、「宇宙人の乗り物」＝「ＵＦＯ」にしました。訳していて、凄く楽しかったです。私が台湾華語を学びたい理由、「阿信の言葉を理解したい」に少し近づけた気がするのです。
さらに、阿信のセンスは光ります。
「用雙腳爬上喜瑪拉雅山，用雙手帶回完成的這張新作」

宇宙人なら、苦労してヒマラヤ登山したり、アレコレ悩んで曲作りしなくても、宇宙人の持つ不思議な能力で、サササッ！と登山も曲作りも出来るはず。でも、「宇宙人」の3人は、自分の足で登山し、ペンを持ち苦労して曲を作り、それを持ち帰ったと表現しています。弟たち「宇宙人」への愛情とともに、曲を作るものでしか分からない創作の苦しみを分かち合い、ねぎらっているように感じます。師弟愛と共に、クリエイターとして共感すること、尊重しあうことの大切さが伝わります。
　最後のとどめは「月全蝕」。これは「皆既月食」です。
4月4日～5日の夜にかけては、壮大な宇宙ショーが展開されましたよね。「宇宙人」という言葉に引っ掛けて、これまで出してくるとは…。阿信、あなたの視野はどこまで広く、視点はどこまで高いのでしょうか？？

　この記事を通し、更に阿信に惚れなおしました。
皆さん、如何ですか？？
五月天というバンド、阿信という主唱、こんな凄い人が台湾にいるんです。