2015年8月6日。
故郷、広島に向かって、今年も手を合わせた朝。
いつもと同じようにやって来た朝ですが、全く違う朝です。
1945年8月6日8時15分。
広島に原爆が投下された日から70年目の朝です。
被爆者の平均年齢は、ついに今年初めて80歳を越えました。
それと同時に、当時の様子を知っている方達は年々減ってしまっています。
被爆体験の継承が難しくなっていっていることを実感しなければなりません。
そして、忘れてはならないのは、今もなお後遺症に苦しみ続けている方々がいらっしゃることです。
今日というこの日を迎えながら、私が生きてきた、この28年間、色々な方々から教えていただいてきた当時の様子の話を思い出しています。
当たり前のように隣にいた、家族、友達、大切な人。
そんな人達を一瞬のうちに奪い去っていった、『原爆』という凶器。
それでもなお、世界では戦争が行われ、核兵器が存在していることを忌まわしく思います。
思い出したくないあの日の出来事を、未来への平和のために、涙ながら声を震わせながら語ってくださった方々の姿は何年経っても鮮明に私の中に残っています。
微力ながらでも、今の私にできることは何なのか。
永遠の課題です。
広島で育ってきた身として。
伝え手として仕事をさせていただいている身として。
少しでも多くのことを後世に伝えていかなければいけない、絶対に風化させてはならない。
故郷、広島を離れて過ごしていると、そのことを、より深く感じます。
昔、小学校で平和についての授業をさせていただいた時、『原爆投下』という事実があまりにも断片的に、歴史上に起きた数ある出来事のうちの一つのようにしか、子どもたちの中に捉えられていなかったことに驚きと悲しさと悔しさを隠せませんでした。
広島では、長崎では、当たり前のように平和学習がなされているはずなのに…。
そんな思いを抱いたのを今でも覚えています。
唯一の被爆国である日本。
私達は今、『核廃絶に向けて、また核兵器というものとどう向き合うのか』、そんな問いを突き付けられています。
その答えを探すには『この世界で起こった真実、事実』、まずはそれを知って、伝え続けていくことが必要だと私は思います。
戦争の恐ろしさ、残虐さを教えてくださった、先人の方々の思いを絶対に消してはなりません。
そして、今私達が平和に過ごすことができていることに感謝しなくてはいけないと思います。
広島平和記念公園の慰霊碑に刻まれている
誓い。
その言葉を改めて心に刻む、今日という日です。