どもりについて | 臨床心理士の今日の一言

臨床心理士の今日の一言

~パークサイド広尾レディスクリニックのカウンセラーより~

昨今は政治家の失言が大きく取り上げられて話題になっています。

ばっさり言ってしまったり、端から聴いてるとユーモアなのかなとも取れるのですが、不愉快に思う人もいるようです。

取り上げられている人は、比較的はっきりものを言う人が多いような気がします。




大学のときに、英語の授業で先生が面白いことを言っていたことを思い出しました。

イギリスに長く留学していたその先生は、このようにおっしゃっていました。




「イギリスのサッチャー首相は、話し方教室でどもり方、スタッタリング(=stutteuringこの言葉じたいもどもっちゃいそうなくらい発音しにくいですよね)を身につけたんだよ。

イギリスの王室や上流階級の人たち、政治家は、発言するときに下々の人々のことを考えて発言しているということになっています。

「ああいうことは言ってはいけない」「こういうことも言ってはいけない」「こういうことは言わなくてはいけない」「これは言ってしまって大丈夫だろうか?」というように、いろんな考えで頭が一杯になり、いざ言葉を口に出そうとするとき、脳みそが混乱してどもってしまうんです。

どもるということは、遡ると下々の人々のことをよく考えている証拠なんです。

そこでいい政治家であったり、いい上流階級の人であることを示すことになるんです。」




先生の話しによるとイギリスは今なお階級というものが残っている社会のようです。

上流階級、中産階級、労働者階級で食べ物も、自動車も、見るテレビも、取っている新聞も、その他もろもろ、話す言葉や話し方がかなり違い特徴があるようです。





マイ・フェア・レディというミュージカルがありますね。

ヒロインは労働者階級出身の花売りの女の子イライザ。

ある方言を研究している言語学者とその友だちがそのイライザに目をつけ、彼女が正真正銘のおじょうさまになれるのかどうか、賭けをします。

内容としては男の身勝手なのですが、そこでは、話し方の大特訓が待っていたのです。

と特訓が必要なくらい、話し方というのは違うみたいです。




サッチャー首相は、上流階級の出身ではないので、政治家になるために上流階級の話し方を勉強しました。

そこでどもりを身につけたとのこと。




商売や仕事が成功してしまい、立場としては上流階級の仲間入りをしてしまった人のためにイギリスではこのような話し方教室がいろいろなところにあるようです。




お笑い芸人さんが、大事なセリフを噛んで、「下手こいたー><」とよく言ってしょげています。

しかしせりふを噛むというのは、イギリスでは上流階級の証し。

そしてそれを身につける努力をする人がいるというのですから、文化の違いって面白いですね。



手紙パークサイド広尾レディスクリニック内音譜

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