今日、5月14日は父親の命日だ。あれからもう3年が経つ。
俺の父親は厳格とまではいかないが、一本筋の通ったような男だった。面倒見が良く、困ってる友人には金の援助も惜しまない人だった。そのため人望も厚く周りにはいつも友人が付いていた。
若いときに母親と死別したせいか、自分を信じてとことん進むようなタイプ。仕事もそうだった。
忘れもしない、母親の誕生日の4月17日、仕事中に母親から電話が入った。
検査入院していた父親にガンが見つかった。胃ガンだそうだ。
頭が真っ白になった自分は居ても経っても居られず、会社を早退して母親に会いに行った。
余命半年。手術しても助からないらしい。
ショックだったという感情より、実感が湧かなくて、そんなはずは無い、と言い聞かせていた。
母親と相談した結果、父親にガンだということは伝えないことにした。
その日から闘病生活が始まった。
腹に水が溜まり、逃げ場を失った水は肺を圧迫して常に息切れ状態だった。全身の浮腫が酷くて、マッサージをすると少しは楽になると言っていた。
夜、寝ても一時間もしないで目が覚めてしまう。看病は徹夜だった。
母親は仕事を休職し、付きっきりで看病をしていた。
物凄く辛い状態でも、父親は母に一言も弱音を吐かなかったらしい。