山で狩りをする者は気配を大切にしている。
姿が見えない獲物がどこに、どうやって潜んでいるのか。
また相手が自分に気づいているのか、
熟練者にはそういったことまで分かるという。
また狩りをする者は自分の気配もうまく消さなくてはならない。
山ではいつ何時、自分が狙われる側になるか分からない。
したがって気配を見逃して、相手に気づかなかった場合。
知らない間に相手に真後ろに立たれたら、決して振り向いて
はいけない。
自分たちが知らない気配である。
後ろにいるのは誰も見たことのない、そういうモノだ。
そういう時は振り返らず、落ち着いてただ名前をつけてやると
いう。
ちっぽけなウサギだと決め付けてやると、誰も知らないソレは
ウサギになるしかないのだという。
そうやってやり過ごしてやると、
気配は舌打ちをしたり、ゲラゲラと笑いながら消えるそうだ。
余談だが、つい先ごろ、南米のジャングルで46種類もの新種の
生物が見つかった。
人によって淘汰されたという絶滅種が多く挙げられる一方で
まだ誰も知らない種が新たに見つかるというのは不思議である。
彼らは一体、どこにいたのだろうか。