山の話(2) | エニグマ/奇妙な話

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幽霊話ではない不可解な怪奇現象、怪談奇談の数々。
これらは全て実際に起こった出来事です。

この世界は、あなたが思っているようなモノではないのです。

ある猟師が山で転寝しているキツネを見つける。


悪戯心を起こしてすぐ傍で鉄砲を2、3発ぶっ放して

やると、キツネは慌てふためいて逃げていく。


腹を抱えて大笑いした猟師であったがその晩、山

夜を明かす彼の下へ、どこからともなく気味の悪


葬列の一行が棺おけを担いで近づいてくる。

慌ててそばの木に登り身を隠していると、一行はその

木の下に棺おけを埋めて去っていく。



人気もなくなり。

さて気味の悪いことを・・・と思っていると、埋められた

棺おけから死びとが這い出し、ゆっくりと猟師のいる

木の上へとよじ登り始める。

その恐ろしい様に腰を抜かさんばかりの猟師はさらに

上へ上へと逃げ登り、とうとうこれ以上登れないところ

まで来て、

助けてくれ!助けてくれ!と・・・。



翌朝、通りがかった別の猟師たちが木の上でわあわあ

泣いている彼をみつけ、ああ、キツネにバカされたなと

物笑いの種になったという。


これは昔話である。



ある猟師が戻ってこないと知らせが来て、仲間の猟師たち

山に入った。


だがいくら探しても見つからない。

死んでいたとしてもどのあたりに死体が出るか、山をよく知

者なら見当くらいつきそうなのだが、まったくわからない。

結局、仲間探しは季節を越えて持ち越されることになった。


犬を増やし改めて山に入ると、ようやく行方不明の仲間は見つ

かった。

皆が見落としていた
意外な場所である。

高い木の上。

彼は腰のベルトを外して木と身体を固く縛り付けたまま、

事切れていた。


干からびた遺体の指はがっちりと木に食い込み、下に滑り落ち

まいとでもしていたのか、歯を食いしばった死に顔は見たことも

ない形相だった。



これは昭和の始めごろ、猟師だった祖父が経験したというTさんの

話である。