アナログ・プレーヤーの修理と音質改善(その2) | 「高音質的ホームシアター」

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老朽化したQL-Y66Fを蘇らせるべく、ターンテーブルとトーンアームを制御している
コントロール基板の電解コンデンサを全て交換してみる事にしました。
(画像は作業前の状態です)

電解コンデンサは内部に電解液を使用している為、寿命がありますから、30年も経っ
ていたら交換は必須です。


ちなみにコンデンサにはそれぞれ”固有の音”があり、メーカー、銘柄、容量、形状
で音質が全く異なります。
特に音響用という名目で販売されている電解コンデンサは高価になりますし、その分、
標準品よりもクセが強く出てしまいます。
高級プレーヤーでは、そのコンデンサの特性を上手く利用して、音色をコントロール

(チューニング)していますが、修理交換の際、耐圧と容量が同じだからと、何も考え

ずに交換してしまいますと、場合によっては帯域バランスが崩れ、音質を悪化させる

事もあります。


アナログプレーヤーの場合、レコード針(カートリッジ)で拾われたアナログ信号は

電気的加工を施されず、そのままパッシブの状態でアンプ側(フォノ・イコライザ)へ

と出力されます。

電子制御トーンアームの場合、針圧調整やアンチスケーティングを電気的に行って

いますが、ピックアップされたアナログ信号はマニュアル機と同様に無加工な訳です

から、当初、コンデンサ交換による音質の変化はそれ程大きくないだろうと思ってい

ました。
ただ、そうは言っても理屈通りにはならないのがオーディオの不思議なところですから、

もし影響があっても自分好みの音色になるよう、作業前にある程度コンデンサの選定

は済ませておきました。
また、音質の変化を確認する為、コンデンサ交換はブロック毎に分けて行い、その
都度、音を聴きながら作業を進めています。


作業をしていく中でまず驚いたのが、AC100VからDC電源を生成している整流回路を

弄っただけで、何と音が変わっているのです。
ターンテーブルの電源を弄ると音質が変わるという話を聞いていたのですが、これは

本当だったようですね。
また、アンプやDVDプレーヤーの電源回路を弄った時と同様、コンデンサそれぞれの
”固有の音”がそのまま音に現れています。
音声信号が通る回路を弄っている訳ではないのに、これはホント不思議です。


全交換完了後、CDとの音を比較する為、同じ音源のレコードとCDを使って聴き比べ

をしてみる事にしました。
QL-Y66FをAVR-A100に接続している関係から、CD音源はデノンDBP-4010UD改を

DENON-LINK経由で出力し音質的には一番有利な状態としました。
当然、AVR-A100への入力方法(アナログORデジタル)の違いによる音質のハンデは
ありますが、そこはあえてそうしています。

アナログプレーヤーはカートリッジでも音が大きく変わりますが、QL-Y66Fに装着して

いるカートリッジは昔から愛用しているシュアーのM111Eです。

このカートリッジは既に絶版となっていますが、これにM97用のスーパー楕円針を組み

合わせてやると、艶やかでメリハリのある音質が得られます。

ジャズ・ロック系を聴くには最高ですね。


ではまず、修理(改造)後のQL-Y66Fの音ですが、これは激変と言ってもいいでしょう。

コンデンサ交換前は善くも悪くもアナログプレーヤーの音といった感じで、何となく丸く

柔らかい感じの音で、解像度も甘いです。
バランス自体は悪くないですが、低域の伸びが今ひとつ足りません。
それが、コンデンサ交換後は曇りがパーッと消えたと言うか、解像度が非常に高くなり

ました。
AVR-A100の内蔵フォノ・イコライザを使ってるので、あまり大きな期待はしていません

でしたが、セパレーションもよく、低域の伸び、量感共に申し分ない感じです。

音も自分の真横まで飛んできますし、レコード特有の”プチノイズ”がなければ、CDの

音と勘違いしてしまいそうです。


次に、DBP-4010UD改との比較ではどうでしょう?
自分好みにチューニングしている事も大きいですが、音質の差を殆んど感じません。
むしろ、レコード音源の方が空間が開放的で、ステージングもリアルです。
肉声や楽器の音も”より生”に近い感じがしますね。
一聴するとCD音源(DBP-4010UD)の方がフォーカスがクッキリとした感じはあるので

すが、よく聴くと高域が少し詰まっているような印象です。
CDはマスタリングの際、コンプレッサを強めにかけ、低域も多少持ち上げて音を加工し

ているでしょうから、恐らくこれは再生機器の問題ではなく、レコードとの録音の差が

顕著に現れただけでしょうね。


今回、殆んどニチコンの音響用部品を使っていますが、当時のケミコンとは性能も

全然違いますので、レコードの音でも現代的な響きが付加され新鮮です。
アナログプレーヤーのコンデンサ交換で、音がこれ程まで大きく変わるものとは思っ

ていませんでしたが、楽器を演奏する自分の耳には、正直、今のレコードの音の方が

自然に聴こえる感じがしますね。(爆)


あとはフォノ・ケーブルと高音質のフォノ・イコライザを導入してどれだけ音質が変化

するのか、ちょっと楽しみです。