犬神家の一族 〔 1976年公開版 〕 | 今日も映画馬鹿。

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生誕100年記念映画祭
市川崑 仕草


 にて


犬神家の一族



 を観て来ました。














横溝正史原作のミステリー小説を

市川崑監督が

探偵の金田一耕助役に
石坂浩二さんと云う画期的な配役を得て

犬神家の一族(1976)
悪魔の手毬唄(1977)
獄門島(1977)
女王蜂(1978)
病院坂の首縊りの家(1979)

と映画化したシリーズで

考えたら4年で5本公開されると云うハイペースな制作状況でありながら

どの作品も濃く完成度の高い面白い映画として成立しているところが凄いです。



その後、

金田一耕助役を豊川悦司さんに変えて
八つ墓村(1996)

そして再び石坂浩二さんで
脚本、音楽、カット割りなど
ほとんど同じ構成で30年ぶりに再映画化した
犬神家の一族(2006年)へと繋がり

これが長編作品として遺作となり

市川崑監督としても重要な作品の位置付けとなるのが

犬神家の一族と云うことになると思います。





自分が、このシリーズをリアルタイムの公開で初めて観たのは、

3作目の「 獄門島 」でした。

少年期の当時、日比谷映画街の東宝本社ビルに併設していた

東宝邦画系の旗館であった千代田劇場にて

人生初めて一人で映画館で観た日本映画がこの作品でした。



強烈な殺人場面がある

おどろおどろしいミステリーで

映画ならではの大人の世界

それなのに随所に散りばめられるユーモアのセンスに魅了され

映画って面白くて凄いものなのだと焼き付けられ

これは大人しくはしていられぬと

同時期に有楽町駅前にあったムーブオーバー上映館の

有楽シネマで上映されていた

犬神家の一族 」と「 悪魔の手毬唄 」の二本立てを間髪入れずに観に行き

更にその世界観の深みにハマってしまい

今日の映画馬鹿の基礎を成した映画シリーズとなる訳です。










今は映画館に掛かる作品では、ほとんど見ることのない

スタンダードサイズのスクリーンの黒をバックに

タイポグラフィでデザインされた極太明朝体の活字が躍る




オープニングのタイトルロールにまずヤラレ

そのバックに流れる大野雄二氏作曲の

日本映画史に残る名曲「 愛のバラード 」にマイッテしまいます。








余談ですが、

このシリーズで「 犬神家の一族 」だけ大野雄二氏がサントラを担当していますが、

その劇中の伴奏の曲調が、同じ大野氏が担当した「 ルパン三世 カリオストロの城 」と

ほとんど変わらないのが今思えば愉快です。









昭和の邦画低迷期に新風を巻き起こした角川春樹氏製作による角川映画第1弾として

文庫本販売とのタイアップで双方が大ヒットした異端な背景がありましたが、

その後の角川春樹氏が世に出した映画は、作品の出来としては首を傾げるものが多い中で

この「 犬神家の一族 」だけは優れた作品だと言っていいと思います。

尚、シリーズ2作目の「 悪魔の手毬唄 」以降は

角川春樹氏は名前貸しの企画のみで東宝が製作を行っています。





豪華な俳優陣の演技合戦も見ものですが、

本作は橘署長で2作目からは等々力警部で登場する

加藤武さんの「 よ~し、わかった! 」の定番となる台詞とか

その後の作品にも役を変えて登場する

坂口良子さん、大滝秀治さん、三木のり平さん、草笛光子さんなどの

市川崑作品の常連俳優陣のキャラクターが作品の面白味を上乗せします。













佐清のマスクとか

湖に突き出た二本の足とか

話題になる要素を多く兼ね備えた作品でもありました。



当時、体育のプールの授業で ↑ 真似して怒られてるヤツが多発していたはずです。





残忍な連続殺人事件が絡む

遺産相続に付随したドロドロの展開なのに

どこかカラッとした明るい後味を残すのは

金田一耕助を原作に近い形で体現した

石坂浩二さんの飄々としたキャラ作りによるところが大きいです。



相手が喋り終わらないうちに被せるように

矢継ぎ早に繋げる独特な台詞回しを筆頭に

層の厚い共演陣の芸達者な演技の融合に

市川崑流の綿密なシナリオの組立てを

陰影を強調した独自の撮影法と

スローやオーバーラップで印象付ける編集の妙技が冴える

映画芸術として日本映画史に刻まれる作品だと思います。



市川崑監督の影響を強く受けた映画人に

岩井俊二監督、庵野秀明監督、原田眞人監督などがいることは有名です。



今まで自分がずっと

洋、邦画を問わずに好んで映画を観続けられている起源が

映画ファンに成りつつあった少年期に

本作に出会えた事にあるのは間違いありません。





















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