細雪 | 今日も映画馬鹿。

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生誕100年記念映画祭
市川崑 仕草


 にて


細雪



 を観て来ました。

















1983年公開なので

自分が熱狂した"金田一耕助シリーズ"より後の作品です。



谷崎潤一郎原作の文芸小説を

市川崑監督独特のモダニズムを絡め

大阪舟場を舞台に優美に飾る女優映画になっています。



本作を観るのは今回が初めてとなります。










陰影を深く表現する映像と

至極細かなカット割りに

クローズアップを多用しながら

会話の台詞を被るように畳み掛ける

市川崑演出の妙をこれでもかと堪能できます。

とりわけ長女役の岸恵子さんと次女の佐久間良子さんの

掛け合いのような台詞まわしは絶妙で珠玉です。



あと驚いたのが三女役の吉永小百合さんで

現代に至っては御本人自ら性的なものを封印している感がありますが

本作では、ドキッとするような隠した色気を滲ませて妖艶です。

公開当時は実年齢37歳でしたが、役柄は20歳代でしょうから

昔からかなりお若く見えたのは変わりないようです。



この名三女優に取り巻かれては、

四女役の古手川祐子さんが演技的に霞んでしまうのは致し方ありません。



男優陣では、まだ俳優時代の故伊丹十三さんの姿も見られます。



そして現在は、特別出演的な位置付けで主演を張ることがない

石坂浩二さんですが、本作では次女の婿役で

その中立的立場ながら作品に意味深な趣きを与える役回りで好演していて

ラストシーンでは本音をさらけ出す見事な演技で唸らせます。



それらの俳優陣の妙技を引き出す

憂いに満ちた脚本は、

金田一耕助シリーズ"でも共作している

日高真也氏と市川崑監督によるものですが

後半の一部のシーンのみ

監督夫人で病床にあった和田夏十さんが執筆されていていますが

残念ながら本作の完成を待たずに亡くなられたそうです。



昨年の「 海街diary 」は公開された折に

平成版細雪だと例えられていましたが、

四姉妹と云う設定の類似だけで

本家は、上流社会の人々の異次元の物語なので

「 海街diary 」とは作品の趣きが全く違うものです。



何れにしても

市川崑監督後期の作品の中でも女優映画としての

特筆すべき映画芸術の集積が見られる逸品です。






























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