リューちゃんとこの、自慢の美人娘の縁談がまとまったらしい。
最近、入院の話と、葬式の話しか聞かない田舎にあっては、
数少ないめでたい報せだ。
そう言えば、リューちゃんも3ヶ月近く入院していた。
別の二人の娘たちの住む京都の病院で、治療していたのだ。
夕暮れの黄昏時になっても、飲まずに我慢できるように…と、
京都にふさわしい修行みたいな治療だったと聞く。
退院して間もないというのに、
リューちゃんがまた入院したと聞いた。
が、今度は大分のかかりつけの病院での治療で、
1週間ほどで退院することができた。
ある人が、リューちゃんに尋ねたという。
「また、飲んだんじゃねぇーの?」
リューちゃんの癖だが、
眉間にシワを寄せて応える。
機嫌が悪いわけではない。
「娘の結納なんでぇ。
めでたい日なんでぇ。
そりゃ、嬉しいっちゃ~
飲まん父親がおるかい?!」
「え、また?
どんくらい、飲んだン?」
リューちゃんは自慢げに口元を引き締めて、黙ったまま、
指を3本立てた右手を、力を込めて目の前に突き出した。
「えっ、3杯?
3合?…
ま、まさか3升も、飲んだん…?」
リューちゃんは、目を細めて嬉しそうに応えた。
「うんにゃ。
結納の日から、3晩続けて…」
リューちゃん、さすがアンタは、その道をきわめちょる。
酒は、悲しみを半分に、喜びは倍にしてくれる。
そうやけど、まずは自分の体が健康であってのこと。
元気で孫のお守もしちゃらんと、いけんのやけん…