若鳥の…

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異常な暑さが続く。

 

「若鳥の…」って聞けば、

ぷりぷりの弾力のあるモモ肉を、

丸ごと1本カラアゲにしてかぶりつき、

生ビールをゴクゴク…

と相場は決まっている。

 

平素の運動不足がたたって、

足腰の筋肉の衰えが増してきた。

足腰の衰えだけなら、

行動範囲を狭めたり、

好きなゴルフを諦めればすむ。

それに変形性膝関節症が絡むと厄介だ。

 

O脚になって大腿骨と脛骨が擦りあって、

軟骨が傷んでしまうらしい。

歩く時もそうだが、

階段の昇降の苦痛が我慢できなくなってきた。

骨髄まで炎症を起こしているので、

関節の手術をする以外ないと言う。

自力での治癒は、もうないのだそうだ。

 

「今はやりのiPS細胞で、

 軟骨を再生するというのはどうだろう?

 実験台になってもいいから…?」

と、すり減ったタイヤの交換をする調子で、

同級生ドクターに提案する。

「若い患者で、

 スポーツかなんかで損傷した軟骨は

 まだ可能性があるけど、

 この年齢になるとだめだな…」

同級生ドクターの返答は冷たい。

それより膝関節の手術に備えて、

手術までの1ヶ月間を利用して、

落ちた筋肉を少しでも再生するようリハビリを勧められた。

 

7月初旬からトレーナーの指示通り、

毎日リハビリに励んでいる。

筋肉痛の場所と程度を具体的に聞かれる。

それでリハビリの効果と運動量を調整するのだろう。

 

筋肉痛はなかなか生じなかった。

昔取った杵柄か、

ついこの前までの頑強な身体を思い起こし、

ちょっと自慢げに感じていたのも束の間、

最近筋肉痛が出てきた。

そして日を追う毎に酷くなってきている。

 

若い頃は翌日には筋肉痛が出ていた。

40代になって、数日経たぬと現れない筋肉痛に、

歳を取るとはこういうことかと感じたものだった。

 

さらに老いて筋肉が堅くなってきたからか…

1週間以上が経って筋肉痛が現われ始めた。

しかも、日を追う毎に酷くなる。

どこが痛いのか、

それすら分からぬほど足全体に広がる傷みも、

加齢の証なのか。

疲労が蓄積されて、

筋肉自体がガチガチに強張ってきているように思える。

 

痩せた筋肉をさすりながら、

きっと柔軟性もなく硬くなっているに違いないと思う。

そして、この老いて痩せた筋肉を噛んだ日のことを思い出した。

 

子どもの頃、家で飼っていた鶏が卵を産まなくなると、

盆や年の瀬に処分されて、親子丼に変わっていた。

「やっぱ、老い鶏は、硬てぇ~な」

と言っている大人の言葉を聞きながら、

口の中にいつまでも残る鶏肉を噛み続けたものだ。

硬い、マズいというのではない。

いつまでも噛めるありがたみのような喜びを感じていた。

 

あの時の歯ごたえを思い出す。

いつまでもいつまでも名残惜しく口に残った鶏の肉と味。

いや、もうすっかり味がなくなっても、あのチューインガムのような

鶏肉は本当に美味しかったものだった。

 

きっとこの足の痩せた筋肉も、

親子丼にすればあの日の絶妙な歯ごたえの硬さに違いない。

 

手術まで数日…

今宵は、大分名物の唐アゲでビールを飲もう。

それも若鳥のモモ唐がいい。

ジューシーでプリプリの若鳥のモモ肉を頬張りながら、

数日に迫った、老いて強張った手術の成功でも祈るとするか。