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今回のお話は
下の記事や報告を参考にしています
子宮頸癌ワクチンの新たな展開
産科と婦人科 第83巻:6号;672-77
子宮頸癌ワクチン訴訟で明らかになった、情報と制度の不足
http://www.huffingtonpost.jp/foresight/cervical-cancer-vaccine_b_9631086.html
平成27年日本産科婦人科学会声明
http://www.jsog.or.jp/statement/statement_150829.html
HPVワクチンって何?
という方は
前回の記事も
読んでくださいね
http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12166168362.html
では続き
まずは絶対的に
知っておかなくてはならない事
HPVワクチンって
結局効果あるの??
オーストラリアや
スコットランドなど
国として
HPVワクチンの集団接種を
開始した国からは
HPVワクチンの
効果を示す論文が
次々と報告されてきています
今回の記事では
幾つかの論文を
非常に簡単に紹介します
下に紹介するデータは
あくまで標的とした
HPVの感染率のお話です
(=子宮頸癌を減少したという報告ではない)
オーストラリアのTabrizi SNらの報告
Assessment of herd immunity and crossprotection after a human papillomavirus vaccination programme in Australia : a reperat cross-sectional study. Lancet Infect Dis 2014; 14: 958-66
対象
18-24歳の
202人のワクチン打ってない人達
1058人のワクチン打った人達
のHPV(16.18.6.11)感染率を比較したよ
結果
59/202(29%)vs 69/1058(7%)
で、ワクチン打った人達で
明らかにHPV感染が減少したよ
スコットランドのKavanagh Kらの報告
Introduction and sustained high coverage of the HPV bivalent vaccine leads to a reduction in prevalence of HPV 16/18 and closely related HPV types. Br J Cancer 2014; 110: 2804-11
2009年~2012年に集めた20歳女性
1018人のワクチン打ってない人達
1100人のワクチン3回打った人達
でHPV16か18型の感染率を比較したよ
29.8% vs 13.6%
でワクチン打った人達で
明らかにHPV感染が減少したよ
というわけで
いくつもの報告から
少なくともHPVの感染率が
ワクチンによって
減らすことができる!
という事は
言えそうです
でもこれって
ただ単にHPVが
いるかいないか見ただけ
でしょう??
ですよね・・
それはやはり
ワクチンがきちんと機能して
それなりの時間が経たないと
評価は難しいのです
子宮頸癌は発症までに
時間がかかる病気だしね
HPV感染が減少
CIN2-3が減少
子宮頸癌が減少
段階を踏んで
一つ一つ検証している最中です
ただ
やはり率先して
定期接種を始めた
オーストラリアから
前癌病変である
CIN2-3が減少した!
という報告も
ついに出始めました
Brothertom JMらの報告
Early effect of the HPV vaccination programme on cervical abnormalities in Victoria, Australia: an ecological study. Lancet 2011; 377: 2085-92
オーストラリア
ビクトリア州の女性を対象にして
ワクチン接種前後の
子宮頸部異常の診断率を検証
ちなみに
オーストラリアでは
12-26歳の全女性に対して
HPV4価ワクチン接種プログラムを開始
結果
18歳以下では
CIN2以上の発症率が
0.38%減少した
というものでした
今後も
各国から継続して
様々な結果が出ると思うので
きちんと
(日本の)世に出て欲しい
ですね・・
さて、
続いて、気になるのは
HPVワクチンと有害事象の因果関係は?
ここですよね・・
ちなみに
有害事象とは
ワクチンが原因かどうかは不明だけど
接種後に起きたアクシデント
そのうち
ワクチン以外の原因が
特定できなかった場合を
副作用(副反応)
と呼びます
しかし
マスコミや行政ですら
有害事象と副作用を
ごっちゃにして
報道する節があるので
読む私たち側も
当然混乱してしまいます
さて、
HPVワクチンの
効果・安全性を示す
大きな試験は
PATRICIA試験
Overall efficacy of HPV-16/18 AS04-adjuvanted vaccine against grade 3 or greater cervical intraepithelial neoplasia: 4-year end-of-study analysis of the randomised, double-blind PATRICIA trial.
Lancet Oncol. 2012 Jan;13(1):89-99.
と呼ばれるものです
9319人のHPVワクチン接種群
と
9325人のA型肝炎ワクチン接種群
で治療成績と安全性について
検討した試験で
現在も追跡で調査を継続しています
何故A型肝炎ワクチンを
接種した人達を
対象(コントロール)としたかというと
これまで使用されているワクチンと比べ
HPVワクチンが
明らかに危ないかどうか?
を知りたいからです
そもそもワクチンには
様々な副作用が
起こりうる
というのが常識だから
(薬も手術も当然一緒)
接種をしない人と
する人で比べても
意味は無く
現在広く使用されている
ワクチンと比較して
どの程度のリスクがあるのか?
を比べています
結果
接種群では
835人(9.0%)に有害事象があり
10人(0.1%)がワクチンと関連がある
という結果でした
コントロール群では
829人(8.9%)に有害事象があり
5人(0.05%)がワクチンと関連がある
という結果で
HPVワクチンは
他のワクチンと
同程度の安全性が示された
ことになるのです
さらに
日本では
複合性局所疼痛症候群:CRPS
体位性起立性頻拍症候群:POTS
の症状が
映像的にも
文章の内容的にも
センセーショナルに報道されて
HPVワクチンは危険なもの
相当怖いもの
というイメージが定着したと思う
でも、これらの症状については
世界中から集められた
データをもとに
解析したところ
HPVワクチン接種後も
何もしていない集団でも
CRPSやPOTSの発症率は
同様に10万人あたり15人
であることが示されて
HPVワクチンと
VRPS・POTSの因果関係は無い
と結論付けられました
Review concludes evidence does not support that HPV vaccines cause CRPS or POTS
HPVワクチンとCRPS/POTSの因果関係は無いと結論(日本語記事)
http://www.cancerit.jp/37000.html
さらに
WHOはHPVワクチンの安全性について
非常に強い声明を出しました
WHO声明の和訳
http://prw.kyodonews.jp/opn/release/201307053113/
もはや
世界的には
HPVワクチンは
安全に使用でき
治療効果も認められる
というのが
一般認識となっています
しかし日本では
これらの報道が
ほとんどされません
同じWHOの声明にしても
【世界で不必要な帝王切開が増加
WHOから注意喚起】
なんて記事は
喜んでバンバン報道するくせにね・・
毒吐きまくりだ・・
日本に向けて注意喚起した内容では無いのに
さも日本の帝王切開率は高い!
なんてミスリード付きでね・・
話はそれるけど過去記事です
http://ameblo.jp/kyusan0225/entry-12015148869.html
(帝王切開批判派は30年も前の
時代背景からWHOが提唱した
適正な帝王切開率を未だに引用して
日本の帝王切開率は高い!と批判する
でも実際は世界的に見ても
日本はかなり適正な判断をしている)
今回のWHO声明は
帝王切開と異なり
日本に向けてのメッセージも
強く含まれています
=====
日本から報告されている慢性疼痛の症例には特別に言及する必要がある。世界各国で使用が増加しており、他からは同様の徴候が認められていないことから、現時点ではHPVワクチンを疑わしいとする理由はほとんどない。一般市民の懸念を認識して、治療を最善に導くために各症例についての慎重な記録ならびに専門医による確定診断の早急な徹底的調査を当諮問委員会は要請する。各症例の時宜を得た臨床評価及び診断に続く適切な治療が不可欠である。
=====
なのに報道されない・・
小保方さんに対し
あんたの理論(STAP細胞)は
科学的根拠が無い!
と言って
連日批判的な記事で
吊るし上げたマスコミ
しかし
HPVワクチンと副作用の
因果関係は科学的に
明らかにならなかった
事については、
全く報道しません
結局未だに
日本のマスコミは
医療批判をしたくて
ウズウズしてるんでしょうなあ
さて
HPVワクチンを
記事で取り扱うと
絶対に様々な意見(特に批判的な)が
見受けられるかと思っておりました
が
今の日本で報道される
情報の中では
副作用を扱う報道ばかり溢れ
しかも、それらの情報は
科学的な根拠に乏しい反面
目に入ってくる情報は
センセーショナルなものばかりです
手術
薬
ワクチン
どれも
100%安全な選択肢はありません
本来は、
利益と不利益を
きちんと理解した上で
個人個人で選択するべきですが
今の日本で流れている
HPVワクチン関連の情報は
明らかに利益・不利益のバランスが
フェアではありません
今の日本では
HPVワクチンを
打とうか打たないか
純粋に迷っている人が
現在の日本の情報を検索しても
一体どれだけの人間が
利益・不利益を
きちんと判断できるでしょうか?
実際に
子宮頸癌で亡くなる患者さんは
増加しています
現在
科学的なデータからは
HPVワクチンによって
子宮頸癌の発症は
少なくなりそうです・・
きちんとした結果が
出るのはもう少し先ですが
予防接種を義務化した国で
子宮頸癌が減り
日本では依然
子宮頸癌で亡くなる人が
増加傾向・・
なんて事もあり得るかもしれません
コウノドリで
大分周知されたトピックだと思いますが
先進国で
唯一先天性風疹症候群が
問題となっている国
それが日本
数十年前に
風疹ワクチンを
定期接種しないことを
決定したことで
未だ
重篤な障害を持つ
赤ちゃんが産まれる国が
私たちの国です
また
2007年に
麻疹が流行したニュースがありましたが
麻疹が流行する国は
アフリカの発展途上国くらい・・
当時
日本は麻疹輸出国
と
大変不名誉な
印象を
世界中に与えました
KNOW・VPDより
http://www.know-vpd.jp/vc/vc_wrld.htm
これらの結果は
明らかに
ワクチンを打たなかった場合の不利益
です
科学的に有効性が
示されつつある状況で
ワクチンを打たなかった時の不利益は
大分先になってからわかるものです
今も昔も
ワクチン反対派の人達って
往々にして、
医療全体に反対!
の人が多いのですが
将来的には
HPVワクチンに対して
どんなスタンスを取ってるんでしょうね??
ってか
風疹や麻疹のニュースについては
今どんなスタンスを取ってんの??
まあきっと
過去にはとらわれず
その時代に作られた
新しいワクチンに対して
こんな危険な薬は無い!
って報道機関を煽ってるんだろうなあ
毒毒毒毒毒・・
長い記事になりました・・
本当は
ワクチン接種後の有害事象に対する
無過失補償制度の話や
日本産科婦人科学会が
HPVワクチン接種の推奨再会を求める声明
http://www.jsog.or.jp/statement/statement_150829.html
を出したこと
も話に入れたかったけど
記事が膨大すぎる上
話の流れも上手に作れないので
いつか話すかもしれないです
HPVワクチン接種を
迷っている人
情報を知りたい人にとって
この記事が選択材料の一つになれば
と思います
この記事を読んで
まだ余力がある人は
HPVワクチンに関する誤解について
も読んでみるといいかも
あっ・・
本の宣伝しなきゃ・・
妊娠・出産を安心して迎えるために 産婦人科医きゅー先生の本当に伝えたいこと 1,296円 Amazon |