太陽と月の結婚 -203ページ目

兆しを捉える季節感(立春編)

昨日の雪景色から一転、とっても良い天気でしたね。寒いのが気持ちよく感じるような晴天。ちょっと時間が空いたので、有栖川宮記念公園の周りを散歩してしまいました。


さて、今日は立春。旧暦では、今日から春です。昨日は雪が降ったくらいの寒い時期に春だなんて、旧暦の四季ってちょっとずれてるじゃない?って思うかもしれません。けど、それは季節を感じる感じ方が今と昔ではちょっと違っているからなんです。

たとえば、現代の私たちは、花々が咲いて暖かいなって実感してはじめて、春が来た!って思うことができます。けれど、季節の兆しにきわめて敏感であった昔 の人々は、各季節のピークを過ぎた瞬間に次の季節が生じる、と考えていたんです。つまり、立春は、春の誕生であるとともに、もっとも寒さ厳しい冬の頂点ということ。誕生と老いを客観的に見れるのって日本の文化のわびさびにもあるのでしょうね。一番寒い時期を『冬』と感じる現代の私たちとはちょっと感じ方が違っています。(参考:旧暦日々是好日

天気予報で「暦の上では春です」なんていうのは、昔と今の季節の感じ方が違うことを暗に示しているんですね。季節の兆しを感じながら春の訪れを喜んだ古の人々の考え方って心にゆとりと豊かさがあるように感じませんか。



【旧暦:師走(12月)28日 立春 (第1候)東風氷を解かす】

大雪の節分。

今日は、なんといっても「雪」でしょう。ずいぶん降りましたね。
大雪のニュースでかき消されちゃった感があるけど、今日は節分。豆撒きしました?歳の数だけのお豆たべました?

私の実家では、鰯の頭を指したの枝を玄関先に立てかけて、「鬼はー外!福はー内!」って、家中に豆を撒き散らしたものですが、最近のご家庭ではどうなんでしょう?おうちで豆撒きってするのかな。


「節分」は、「土用」と同じで、ほんとは、年に4回、季節それぞれの変わり目にあるんですよね。もともとは、「季節を分ける」って日だから、、季節が始まる日それぞれの(立春、立夏、立秋、立冬)の前日ですからね。でも今では、主に立春の前日の2月3日を指して、「豆撒きをする日」とか、「邪気を払う日」って感じで捉えられてますね。

「節分」って、季節が変わる節目ってことだけじゃなくて、年度の変わり目としての節目でもあったようです。っていうのも立春が1年の始まりであったことからですね。今でも「節分」を境目にして運勢を占ったりするのは、そのためだそうです。

こんな、1年の節目、季節の節目である今日のこの日に雪が降るっていうのも、まっさらな気持ちになってちょっといいなと思いました。「厳しい冬の季節に別れを告げ、厄を払う」清くなった気分です。


【旧暦:師走(12月)27日】

しゃばけ

昨年の春、神々の島と言われる沖縄「久高島」で、「月明かりの夜」を体験しました。暗闇の中、満月の月の光に照らされて、白く浮かびあがった白い道が、まっすぐ伸びてるのがとても幻想的でした。

って、こんなことを思い出したのは、最近気に入って読んでる時代小説のせいかもしれません。

時代小説って、「夜」の表現がとってもおもしろいんですよ。月あかり、常闇、提灯、行灯などなど、まだまだあるけど、風情ある自然の描写とか、巧みにでてくるアイテムとか、目をとじると広がる世界がなんとも魅力的!

ちょっと前に読んだ畠中恵さんの『しゃばけ』もそのひとつ。年末に、ジャニーズNEWSの手越くん主演でドラマにもなったから知ってる人も多いのでは。

物語は、廻船問屋である長崎屋の身体の弱い若だんな一太郎と、手代で実は妖(あやかし)という仁吉と佐助が活躍する江戸を舞台にした冒険ファンタジー。

暗闇の中、提灯の灯りを消して息を潜めるとことか、蝋燭の灯りがゆらゆら顔をなめるといった光と時間の余韻を感じるとことか、江戸の闇夜はこんなだったのかなって、思い描くことができます。

登場人物や妖もユニークで、娯楽として楽しく読むことができちゃいます。ちょっと疲れたとき、こんな江戸のファンタジーの世界に浸ってみるのもいいですよ。

▼著者:畠中恵(はたなかめぐみ)
しゃばけ (新潮文庫)


【旧暦:師走(12月)24日】