いかにも統合失調症らしい異常体験
ある日、病室でトラブルがあったと言うので、患者さんを呼び事情を聴いてみた。その内容が、いかにも統合失調症らしい訴えだった。
ある患者さんが、同室の患者さん(○○さん)に文句を言ったと言う。本人を呼び、なぜ文句を言ったのか問うた。
「○○さんが、いつも私の体に入ってきて私に指示する。出て行ってよ!」
と激しく文句を言ったらしいのである。文句を言われる方も、これは??の世界だと思う。
この内容は荒唐無稽で、健康な人であれば、なかなか思いつかない発想だと思う。以下は過去ログのシュナイダーの1級症状について。教科書的な内容である。
クルト・シュナイダーの定義した1級症状
1.思考化声
2.批判的幻聴
3.ダイアログ(複数人の対話)形式の幻聴
4.身体への悪意ある行為や影響
5.思考伝播
6.思考奪取
7.作為体験
8.関連妄想・妄想知覚
「統合失調症=幻聴がある人」と思っている人がいると思うが、シュナイダーの1級症状に「批判的幻聴」はあるものの、幻聴はそこまで疾患特異性がない。つまり、幻聴を伴う統合失調症以外の精神疾患はそこそこある。まして、鳥の声とか物音など、批判的ではないものはなおさらである。
あまり意味がない音だが、受け取った印象が批判的に聴こえる時は、統合失調症的色彩が高まるが、それでも統合失調症以外の例えばASDやADHDなどの人たちはしばしば自己評価が低いのでそのように捉えることもある。
では最初に挙げた奇妙な精神症状は、上のシュナイダーの1級症状のどの辺りにあるかと言うと、
4.身体への悪意ある行為や影響
7.作為体験
くらいだと思われる。これらは被影響体験とも呼ばれる。また同時に被害妄想的でもある。身体への悪意ある行為や影響と言うワードには、被害妄想的な要素が含まれている。
過去ログには、現代風シュナイダーの1級症状と言う記事もあり、興味のある人は参考にしてほしい。
参考