PL顆粒とPA錠が著しく不足していること | kyupinの日記 気が向けば更新

PL顆粒とPA錠が著しく不足していること

風邪薬としてよく知られているPL顆粒とPA錠が遂に不足し始めている。この2剤の正確な名称はPL配合顆粒およびピーエイ配合錠である。

 

これらの風邪薬は、薬局で売られている風邪薬と大差がない。またアセトアミノフェンが入っていることからカロナールが主の薬である。

 

風邪薬は一般的に眠くなると言われているが、これはPLやPAにはヒベルナ(プロメタジン)が入っているためである。これは抗ヒスタミン薬で、抗精神病薬の副作用止め(抗パーキンソン作用)としても処方されることがある。

 

 

これはPL顆粒に入っている成分の一覧である。これをみると、PLとPAが不足し仮に購入できなくなったとしても、似ている薬が院内薬局で配合できそうである。そもそもこのような風邪薬が不足することは、新型コロナ、インフルエンザ、普通の風邪が流行りまくっているためである。

 

このような風邪薬はあまり意味がないと言う意見があるが、風邪に抗生剤は意味がないという話ほどは臨床にそっていない。カロナールによって高熱が下がることで、食事が摂れるようになるとか、副次的な利点もあるからである。

 

うちの病院ではある病棟で2回目の新型コロナクラスターが発生したが、今回の株は前回より感染力が高かったようで、患者さん職員ともに感染率が高かった。

 

前回の流行時、患者さん職員とも感染者が少なかったため、80%近くの感染だった他の病棟に比べ、もしかしたら新型コロナの中でも感染力が低い株だったのでは?と思った。同時に病棟の造りの相違で、換気が良いため、感染力が低く見えたのかもと思ったものである。

 

しかし、今回の感染率の高さは、病棟の造りの差だけではなさそうだと思ったが、真冬に感染者が病棟にいるとまた状況が違うのかもとも思う。新型コロナウィルスに限らないが、平凡に考えると、従来株を凌ぐ感染力がないと主流の株にはなり得ない。新型コロナは徐々に感染力を高める方が、より適応的なのである。言い換えると、そういう株が最終的に環境に選ばれると言った感じである。

 

今回もワクチンは感染そのものにはあまり効果的ではなかった。しかし全般に軽症の人が多かったので、何らかの軽症化に貢献した可能性はある。精神科病棟の患者さんほど、ワクチン接種率が高い集団は滅多にない。そう思う理由は、長期入院が多くほとんど全ての患者さんが初回接種から、休むことなく全ての回数接種しているからである。

 

ワクチンも最初の頃に比べて発熱などの副反応が少なくなっているので、製薬会社により、マイナーチェンジが行われているように思う。

 

現在、一般の風邪も含めて呼吸器感染症が激増しているのは、日本国民が今もそうだが、長期に渡りマスクをし過ぎていることも大きいような気がする。雑菌に常に晒されている方が免疫系は活性化すると思うからである。その意味では、子供の方が大人より影響が大きい。子供のうちにぜひ感染しておいた方が良い感染症もあるからである。

 

新型コロナウィルスにもし意思があるのなら、長期的には、感染力が高く、より軽症化する方がより環境に適応的である。侵襲が高い株に変わり重症化するとウィルスそのものの存続にかかわる。

 

しかし、新型コロナウィルスが軽症化するのは偶然と言う意見もある。確かに、インフルエンザウィルスは長期に渡り線形に軽症化しているようには見えない。

 

以下は日本国内で新型コロナウィルスが重大なウイルスであると意識され始めた2020年2月24日の過去ログである。