長期間、夫からDVを受けてきた奥さんの話 | kyupinの日記 気が向けば更新

長期間、夫からDVを受けてきた奥さんの話

夫からDVを受けている奥さんは、離婚ないし別居しない限り、それから逃れることなどできない。

 

またDV夫を精神科病院に連れていくことはもっと困難である。

 

DV夫が奥さんを殺すとか、誰が見てもDVによる大怪我と見なされるくらいのことが起こればやっと警察が介入する。DVは民事的な事例と思われているのかもしれない。事情を聴取された際に、奥さんが夫から受けた怪我と言わないこともあるからである。

 

DV夫は社会的には成功していて、世間からの評価が高いことも稀ならずあり、いわゆる外面が良い人物だったりする。ここで言う、社会的成功とは、会社社長、大学教授、医師や歯科医などである。

 

このようなDVは、自宅で酷いことが起こっていても、情報が外部に出てきて大問題になることは滅多にない。まして、DVが理由で本人を精神科病院に連れて行くことは更に困難なことである。

 

稀に、DVが理由で奥さんが精神科病院に相談に来られることがあるが、本当に滅多にない事例である。また、これらは真のDVとはちょっと違っていることが多い。

 

DV夫の治療を依頼される機会はリエゾンが最も多い。身体疾患で入院中に、入院している夫はDVが酷いのでリエゾンで来られる精神科の先生に診てほしいと言った流れである。従って、本人も奥さんも年配者かそれ以上である。

 

ここで気付くのは、妻に重大な身体疾患が生じていることである。

 

例えば、白血病、糖尿病が悪化して足を切断している、あるいは重い膠原病などである。もう手術を終えてるが癌だったと言う人もいる。

 

DVに長期間耐え続けるのは、多分、免疫を弱めるか変調を起こさせ、重大な身体疾患が生じるのであろう。

 

DV夫は、入院中に治療を始めるが、往々にしてその後が続かないので、運が良くて精神科病院に引き続き入院するなどにならないと、大きくは変われない。

 

それでも、過去には非常に良い経過になった人もいるので、治療は無意味とはほど遠い。

 

退院して、奥さんから人が変わったように夫が優しくなったと感謝されることがある。やはり服薬するしないは大違いと思う。たいてい向精神薬は、クエチアピン、バルプロ酸、メマンチンのいくつかの組み合わせが多い。

 

このくらいの年齢では、精神療法など難しいし、リエゾンでは時間が取れないので、ほぼ薬の効果と言って良い。これは以下の記事にも記載している。

 

 

子供が虐待を受けている場合、小児科のドクターがそれを見抜いて、警察に連絡することも多いが、成人の場合、結局は自己責任のように見なされている。

 

その理由は成人は自分で判断できると考えられているからである。