DUNE/デューン 砂の惑星 | kyupinの日記 気が向けば更新

DUNE/デューン 砂の惑星

 

 

今回はネタバレ注意の記事である。

 

1965年に発表されたSF小説「DUNE/デューン 砂の惑星」は物語の複雑さや壮大さなどから映像化が困難とされてきたが、1984年に初めて映画化発表されている。当時、映画館で観た時、その素晴らしさに驚いたが、砂の惑星が舞台になっている点がスターウォーズに似ていると思った。

 

実は同じ1984年に「風の谷のナウシカ」が発表されており、巨大な虫とそれを主人公が操る点で類似点があると思った。(ただし風の谷のナウシカの映画はずっと後年に観ている)

 

「砂の惑星」は2021年にNetflixで最新の映像や音響技術でリメイクされて再び映画化されている。2021年の作品は2時間半に及ぶ長い映画だが、物語が完結せずに終わっている。尻切れトンボで終わっているので、嫁さんと一緒に観た時、「なにこれ~」というガッカリの評価だった。僕は昔の作品を見ていたので、映像が綺麗なのは確かだし、後半があるのならまあ仕方ないと言った評価である。

 

Netflixの「砂の惑星」は海外では高評価だが、日本ではさほど評価が高くなく、期待外れと思った人も多いと思う。

 

最新版は前半だけの評価だが、1984年のリンチ監督の「砂の惑星」の方が僕は出来が良いと思った。現在、YouTubeで1984年版の「砂の惑星」を無料で観ることができる。これは3時間を超える長尺版で、未公開部分が多く出てきているので新しい発見がある。(下の映像)

 

 

上のYouTubeの長尺版は流石に特撮技術が古いが、説明があるか、展開的に理解できる内容なので初心者にもわかりやすい。興味がある人は一度観てほしい。「砂の惑星」が少しわかりにくい点は、特殊用語が良く出て来るためである。以下は一部ネタバレだが、これくらい知っていると内容が良く頭に入ってくる。

 

概略として、皇帝、アトレイデス家、ハルコンネン家、ベネ・ゲセリットの女性秘密結社、スペースギルド、砂の惑星アラキス及びフレメンがこの映画の軸として物語が進んでいく。この映画では、皇帝、ハルコンネン家、スペースギルドが悪で、アトレイデス家とフレメンが善として描かれている。一方、ベネ・ゲセリットは悪よりの中立的位置にある。

 

今になってあらためて驚いたのは、映画の時代背景が西暦10190年で、過去に人類とAIの戦争があり、その後、コンピュータ技術の発展が抑えられて、アナログで中世的な世界設定になっていることである。実際、コンピュータ代わりの高い知能の人間が出てくる。これはスターウォーズのR2-D2やC-3POの人間版であろう。

 

近年、AIが進歩しここ1~2年でも指数関数的と言えるほどレベルが上がり、近い将来、必要でない職種が増え、ヒトが追いやられる暗い未来が予見されるようになった。知識人の中では警告する人もいるほどである。そのようなことを1965年のSF小説で既に言及しているのが凄いと思う。ブレードランナー以降に警告しても大して凄くない。

 

主人公は、ポール・アトレイデス。アトレイデス家の長男である。最新の2021年Netflix「砂の惑星」では、ポール役はティモシー・シャラメが抜擢されているが、これがかなり外している。旧版のカイル・マクラクランの方が容貌的にも体格的にも相応しい。そもそもティモシー・シャラメのような華奢な体格だと、スティングに勝てそうにない(旧版のハルコンネン男爵の甥のフェイド)。旧版の時間をかけて筋肉隆々でフェイド役に臨んだであろうスティングを見習ってほしい。ヒロインのチャニ(カインズ博士の娘)もショーン・ヤングの方が遥かに良い。

 

1984年の時代背景などもあると思うが、旧版の砂の惑星は人種差別的という批評があったらしい。そのためヒロインはアラブ系、カリブ海風?の白人ではない女優を抜擢している。このような配役は近年のスターウォーズでも観られるが、不評で終わっている。

 

時代背景が大きく影響していると思うのは、ウラディミール・ハルコネン男爵の名前もそうだ。ウラディミールって何よ。なお、ウラディミールはロシア大統領、プーチンの名前と同じである。1965年と言えば冷戦でも一触即発の時代だったこともある。

 

映画の中で、ベネ・ゲセリットの女性がヴォイスという超能力を使う場面が出て来る。これは、スターウォーズで出て来るフォースと同じような超能力だと思うが、スターウォーズのフォースに比べて、言語と精神支配寄りの超能力だと思う。

 

 

上の記事より抜粋

宇宙戦艦ヤマト2199では、時に意味不明で、このエピソードは必要があるのか?というものがある。その1つが、ヤマトの乗組員全員の精神に入り込み、過去の幻想を見させるエピソード。これは、ガミラス側の女性(魔女と呼ばれていた)セレステラが仲間のミレーネルを使って、ヤマトの船内に精神イメージを送り込むものである。これは乗員全員を幻想状態にしたまま、ガミラスの待ち受ける宇宙空間に誘導することが目的であった。しかし、(実は自分は細かいところがよくわからなかったのだが)、古代か森雪がなんとか幻想を振り切り、偶発的に?ミレーネの精神イメージが事故死し、全員が我に返るというストーリーである。その結果、セレステラはミレーネルという唯一の仲間(同じ惑星出身)を失う。彼女は涙を浮かべ、「これで私は独りぼっち」と呟くのであった。この話は、意味不明だが、XファイルのSleeplessと、エヴァンゲリオンの精神攻撃を想起させ、実に興味深かった。

 

「砂の惑星」ではベネ・ゲセリット出身のポールの母親(ジェシカ)がポールにヴォイスを教える場面が出て来る。実際、ポールがヴォイスを使い、ハルコンネンの兵士に砂漠に捨てられそうになった際に助かるのである。

 

このヴォイスは中核的な統合失調症の人の幻聴に近いものだと思う。そう思う理由は、ヴォイスのために精神が支配され迷いなく行動しているからである。「教壇に行き土下座しろ」と言われて、実際にそうしてしまうのが真の幻聴である。

 

その意味では幻聴は声と言うよりエネルギーに近い。それはフォース的でもある。おそらくその理由で、聴覚を喪失した統合失調症の人にも幻聴が診られる。その視点では片耳からのみ聴こえる幻聴は、真の幻聴的ではない(当たり前)。

 

映画の中では、ハルコンネンの兵士がポールのヴォイスに支配され、ジェシカの猿ぐつわを外し、味方を刺し殺している。

 

今回、Netflixの砂の惑星を観た後、あらためて1984年リンチ監督版の3時間の「砂の惑星」を観てみた。相変わらず素晴らしい映画作品だと思った。未公開部分が含まれている映画を観たのは僕は初めてだったようで、細かい謎がいくつか解けた。アメリカは今年だが日本はパート2が来年公開されるらしいが、けっこう楽しみにしている。

 

 

ワーナーブラザーズの冒頭10分無料映像。

 

なお、過去ログには映画関係の記事を何度かアップしている。以下にアップしておくので興味のある人は読んでみてほしい。