最近、クリニックに行くような患者さんが単科精神病院に来る | kyupinの日記 気が向けば更新

最近、クリニックに行くような患者さんが単科精神病院に来る

最近、クリニックに行くような新患が、単科精神科病院に来るようになった。これは色々な意味で興味深い。

 

患者さんがクリニックに初診しようとすると、予約になりしばらく待たされることが多い。「来月の〇日に来てください」くらいならまだ良い。先日初診した婦人は、「年内は予約が難しい」と言われたそうである。

 

うちの病院は数年前は、病院に来た日に初診で見ていたが、今は収拾がつかないとか、医師により新患患者数に偏りが出るなど不公平になるため予約制にしている。基本、電話で予約受付をするが、運が良いならその日の午後に初診できる。待っても1週間以内である。

 

どうしてもその日に診てもらいたい、という希望があれば、僕はなんとかその日に診るが、その希望は受けいれられない病院の方が多い。なぜ、その人を診るかと言うと、そこまで言うからにはかなり悪いかもしれないと思うから。実際には、しばらく休みが取れないなど普通の理由のことが多い。(これもクリニックの患者さん的)

 

結局、クリニックにかかりたいと思う人でも、単科精神科病院にかからざるを得ないというのが実情である。

 

クリニックと単科精神科病院では医師数に大差があり、クリニックは新患が押し寄せると、新患予約が滞り、予約は出来ても今なら来年になるのであろう。また、クリニックはもはや新患は診ず再診だけ診ているところもある。これはクリニックの収益や体調を勘案してそういう方針のような気がする。(日本は累進課税なのでその考え方になりやすい)。再診患者さんを日々のんびり診ているのと、新患も診て疲労困憊するのを比べると、その労力たるや大差である。

 

クリニックの医師はたぶん単科精神科病院より遥かにストレスフルなので、診療中に体を壊し閉院するケースが少なからずある。

 

うちの病院の近所でも、おそらく健康上の理由で閉院したり、夜逃げしたり、経営者(医師)が変わっている。夜逃げ?は何なんだと思うかもだが、僕の診立ては、ヒステリー遁走(解離性遁走)ではないかと。その根拠はその医師がいなくなる前に、僕に到底、精神科医とは考えられない奇妙な紹介状が多々来ていたからである。

 

クリニックに初診する場合、将来、閉院になる可能性も視野に入れておくべきだと思う。これは何に関係するかと言えば障害年金である。初診の精神科ないし心療内科クリニックが閉院している場合、後で困ることになる。

 

他、単科精神科病院のハードルのようなものも、以前よりずっと低くなっていると思う。

 

精神科受診することはやはり気持ちに抵抗がある人も多く、かなり悪くてもなかなか精神科にかかる決断ができない。結局、悪化が極まってギリギリで受診するため、その日にはクリニックが良いなど言っておれないのだろう。

 

ここ数年で市内にも何軒も精神科ないし心療内科クリニックが新規に開業している。自宅の近所にも歩いて行ける場所(400㎎以内)に開業しているが、医師の名前をホームページで確認したら、全然知らない人だった。僕の大学の同門の後輩かも?と思い、名簿を調べると、そこにも名前がなかった。

 

そのようなことを考えると、どこのクリニックもすぐに受診できないなんておかしな話だと思う。

 

以下は、2006年にすみ分けのようなもの記載した記事である。(現代風には少し内容的に不足している)