精神科と心療内科は | kyupinの日記 気が向けば更新

精神科と心療内科は

精神科と心療内科の違いについて、一般の人たち理解されていないように思う。今から20年ほど前、どこの大学でも精神科の教室(医局)はあるが、心療内科の教室があるのは稀だった。しかし、今では以前に比べ増えているのではないかと思う。かつて、精神科と心療内科は円満な関係ではなかった。今でもおそらくそういう面があると思われる。精神科は心療内科の治療についてバカにしていたところがあった。というのは、内科でも精神科でもなく中途半端な科だからという理由が大きい。僕は総合病院で働いていた当時、院内には精神科のほかに心療内科も存在していた。心療内科は内科の一部であったのである。心療内科が基本的に内科の一部であるという感覚は、今も精神科の中にはある。当時、どういう風に窓口で振り分けていたのかわからないが、窓口案内のおばちゃんが、あなたは精神科に行きなさい、あなたは心療内科のほうが良いでしょうとアドバイスしていたのであった。ひょっとしたら、その患者の雰囲気だとか、主訴の内容によって振り分けていたのかもしれない。


現在、いわゆる「心療内科クリニック」が雨後のタケノコのようにできているが、彼らは実はほとんどが精神科出身なのである。心療内科をバカにしているのに心療内科と標榜せざると得ないのが笑えるというか、泣き笑いなのだが。うちの市にどのくらいの心療内科クリニックがあるか数えたことがないのだが、ほとんど僕の医局の出身なのである。まさに知り合いばかりだ。なぜ、精神科と堂々標榜しないかというと、全然、患者さんが来ない恐れがあるから。僕はいまいちピンと来ないところがあるのだが、精神科と心療内科では、かなり敷居の高さが違うみたいだね。僕は、今後、クリニックを開業することはほぼないのであるが、もし開業するならぜひ精神科と標榜したい。なぜなら、「精神科」に誇りを感じているから。とはいえ、現実的には難しいんだろうけどね。知っておいてほしいのは、精神科も心療内科もないこと。単科の精神病院の精神科ドクターと心療内科クリニックのドクターには違いがないのである。


○心療内科の良い点
敷居が低い。
交通の便が良いところに立地することが多い。
入院させられる心配がない(患者さんから見た時。僕の推測)
わりと夜遅い時間まで診てくれるクリニックが多い。
外来に変な人がいない。(これも推測)
診察時間は、わりに長く診てくれる医師が多い。
院外処方なので、すべての精神科薬物が処方可能であること。
希望すれば、ジェネリックを避けることは容易。


○心療内科の悪い点
患者さんが多く、長い時間待たされる。
病状が悪すぎる時は、うちでは診れないなどと言われる。
院外処方が多く二度手間。更に待たされる上に処方箋料もかかる。
入院治療が必要な時に他病院に転院となり主治医が変わる。

血液検査や血中濃度検査がしにくいクリニックも。
休日は、クリニックは無人なことが多く、悪い時にどうしようもない。(他病院の精神科救急外来にかかればOK)
障害年金の診断書が書き辛い面がある。(疾患によるが)
訪問看護やデイケアなどがない(ところがほとんど)
待合室が狭い。また駐車場があまりないケースも。


○一般単科精神科病院の良い点
あらゆるレベルの精神科疾患が扱えること。
クリニックほどは外来で待たない(病院による)
院外処方は稀。(2度待たなくて良い)
場合によれば入院加療も可能。主治医も連続している。
コメディカルスタッフが豊富である(精神保健福祉士、作業療法士、心理療法士など)
普通、デイケア、訪問看護などを行っている。
休日も普通玄関はあいているし、誰か医師がいるので相談に行ける。
待合室の空間は広く取ってある(病院が多い)
駐車場に困ることがあまりない。


○一般単科精神科病院の悪い点
敷居が高い。
受診していることを友人などに知られたら
困る。(すごく悪いのではないかと誤解される)
会社などに診断書を出す時、あの病院の診断書じゃ嫌とか(推測)
使っている薬物がジェネリックばかりだったりする。
あんがい、使っている薬物の種類が少なかったりする。(院内処方でないのでどうしようもない)