統合失調症の人の癌宣告と余命の話 | kyupinの日記 気が向けば更新

統合失調症の人の癌宣告と余命の話

 

 

上のリンクは統合失調症の患者さんは癌の罹患率が低いと言う話である。統合失調症の人が癌にならないかというと、長生きすれば癌で亡くなる確率は高くなる。癌は老化と近縁にある疾患だからである。

 

現代社会では統合失調症の人は昔より遥かに長命になったので癌に罹患し癌が死因になるケースが増えているはずである。

 

リエゾンなどに行くと、身体疾患の高齢者で1度ないし時に2回以上癌になりそれぞれ治癒した患者さんを時々診る。癌は予後が悪いものとそうでないものがあり、平均的に言えば癌は治癒することも意外に多い印象である。

 

 

外来通院している統合失調症の人たちはスクリーニングを受けていない人も少なからずおり、発見された時には既にステージが進んでいるということが良くある。

 

うつ病で「いつも希死念慮があるような人」は癌検診を受けないのでリスクが高いと思う。希死念慮がある人が癌検診を受けることは、ある意味、行動が矛盾している。

 

ある時、癌家系の双極性障害の外来女性患者さんに、年齢的に癌検診を受けるべきと伝えたところ、素直に検診に行き、偶然とても小さい乳癌(1円玉のサイズ以下)が発見された。この患者さんは手術と化学療法で治癒したが、今後も注意しないといけないと思う。他の癌のリスクも高いと思われるからである。

 

統合失調症の患者さんの癌の特徴は、けっこうステージが進んでも一般の人より遥かに動けることである。また化学療法にも強いことが多い。また「癌宣告という大イベント」にも強いことに気付く。

 

実際、ある肺癌に罹患した男性の統合失調症の患者さんは肺癌の治療開始後、しばらく仕事を休んでいたが、全く体調的に元気なので職場に復帰し、化学療法を受けながら仕事を続けていた。しかも肉体労働である。そして、なんと亡くなる数日前まで働いていたのである。

 

彼は最後は抗癌剤のために食欲不振と体重減少が生じ、少しだけ死期を早めたように見えた。ただし抗癌剤の苦痛はかなり少なかったので(微熱のみ)、トータルの化学療法の良し悪しの判断は難しい。

 

それにしても、まさに超人である。

 

他、末期癌で全身転移があり、血液所見も絶句するくらい悪い統合失調症の患者さんが食思が極めて良く、全く疼痛もないと言うこともよく診る。

 

結局、このような癌罹患後の身体状況があるから、長生きするし亡くなる寸前まで動けるのであろう。