副作用について詳細な紹介状 | kyupinの日記 気が向けば更新

副作用について詳細な紹介状

精神科通院中に進学や就職で転院をする際、主治医が宛名なしの紹介状を書いてくれることが多い。それまでの経過や現在処方などである。雑な紹介状だと、初診日さえ書かれていないものもある。

 

紹介状はこういう風に書くといったルールはないので詳細さという点でかなり差があるのである。紹介状に良く添付されるものとして、自立支援法や精神障害者保健福祉手帳の診断書のコピーがある。しかし、若い人は自立支援法を受けていないケースが多い。その理由は自治体から医療費の支援を受けていることが多いからと思われる。この支援の比率は自治体により異なる。

 

ある時、転院し入院になった患者さんの紹介状の詳細さに驚いたことがあった。その女医さんは医局のずっと先輩で、妹さんが僕と同級生だったので名前だけは良く知っていた。

 

いかなる薬が禁忌であることに加え、それ以外の様々な向精神薬(主に抗精神病薬)について処方した際の効果や印象まで記載されていたのである。

 

あれほど詳細な紹介状は僕には書けない。

 

これほど詳しいと、「○○の薬はこういう反応だったら処方し辛いな」などと思うので、その点が良いのである。これはその薬を決して処方できないわけではなく、副作用や悪影響の規模や範囲がわかるので、処方する際の覚悟に好影響がある。

 

中毒疹などの恒久的と言ってよい禁忌と比べ、「ある薬で病状がむしろ悪化して見える」と言う不適切な印象は、その患者さんの精神疾患のフェーズにもよる。つまり病態が変化すると良いこともあるのである。また過去ログではECTを実施することにより忍容性が変化すると言う記事もある。

 

どこで書いたか見つからなかったが、過去ログに「私はエビリファイは合わないです」と本人が言うのに、エビリファイ使ったところ非常に有効であった例を紹介している。これはルーランよりエビリファイの方がその人にとって長期的な副作用は少ないと思われたからである。この患者さんは今はレキサルティ2㎎を処方している。

 

しかし、あのような詳細な紹介状を書くことは普通は無理だと思う。精神科医は常に書類に忙殺されているからである。これらは、実は国による医療費抑制から来ているものもあり、現在は働き方改革に反すると思っている。