ラツーダの錐体外路症状を軽減する機序 | kyupinの日記 気が向けば更新

ラツーダの錐体外路症状を軽減する機序

ラツーダは非定型抗精神病薬の1つでEPS(錐体外路症状)を減少させる機序を持つ。

 

〇錐体外路症状
筋肉が固くなる
手足が震える
姿勢を保つことが難しくなる
小刻みに歩く
動きが遅くなる
転びやすくなる
顔の表情が乏しくなる
飲み込みが悪くなる など

 

非定型抗精神病薬は「定型ではない」という意味だけではなく、「EPSが少ない」特性も含まれている。非定型精神病薬は定型比べ陰性症状への効果が大きいが、それは「非定型精神病薬っぽい」というだけで、定義的には含まれないらしい。しかし近年はこの辺りは曖昧になっていると思う。

 

EPSを減らす作用機序は5HT2A遮断作用(アンタゴニスト)によるものが多い。一般にSDAと呼ばれる抗精神病薬が持つ特性である。

 

 

SDAの特性を持つ非定型抗精神病薬は比較的早い時期に発売された薬が多い。リスパダール、ルーランなどである。その後、エビリファイのようにD2レセプターに対するパーシャルアゴニスト作用が主である薬や、クロザリルのようにD2への親和性が相対的に低い薬も発売されている。

 

 

ラツーダの前回の記事では作用に2つの柱があると記載している。

 

その2つの柱とは、D2遮断作用(一般的な抗幻覚妄想作用)および5HT1A、5HT7への作用(不安、抑うつ、認知の改善)である。この5HT1Aの作用はルーランと同じだが、これに加え5HT7への作用が加わっているのが抗うつ、抗不安、認知の改善に関して優れている点である。

 

上の記載には5HT2Aについて触れられていないが、ラツーダのEPSを減少させる機序の1つはSDAと同じく5HT2Aアンタゴニスト作用である。

 

また5HT1Aアゴニスト作用もEPSを軽減すると考えられており、ラツーダの5HT1Aパーシャルアゴニスト作用もEPS軽減に貢献している。この5HT1Aパーシャルアゴニスト作用の特性はルーランも同様である。

 

ラツーダの陰性症状への作用は主に5HT1A、5HT7への作用である。その視点では古典的なSDAに加え、新しい抗うつ剤的な作用機序を加えた非定型抗精神病薬と言える。

 

そう思う理由は、トリンテリックスの抗うつ作用を発現する柱の1つに5HT7へのアンタゴニスト作用があるからである。