高齢者でリフレックスよりサインバルタがむしろ良いケース
リエゾンでは、状況あるいは環境的に高齢者のうつ状態を診たら、リフレックスを処方するのが無難である。
僕はリエゾンで紹介される高齢者にほとんどSSRIを処方しないが、これは主に食欲を減じることが多いからである。またSSRIは初期に焦燥が強く出て、夜眠らず騒ぐ事態を避けたいのもある。初期に出やすいのがポイントだと思う。
高齢者ではリエゾンの向精神薬で強く副作用が出た場合、病室を訪れる家族に対し非常に心証が悪いので、リフレックスでは半錠、つまり7.5㎎から処方することが多い。これで結構改善するので、高齢者向けに7.5㎎錠があった方が良いと思う。
過去にリフレックスの服用歴があったり、うつ病の治療歴がある人は1錠から開始することもある。
リフレックスでは、いくら半錠とか4分の1錠でも極めて眠さが酷く出て、実用にならないことがある。これでは、日中、食事を摂ったりリハビリをするのに困るので、リフレックスを中止することが多い。リフレックスは中止すると、速やかにこのような副作用が消失してしまうのはよろしい。
中止後、速やかに副作用が消失することは、確かにリフレックスの有害作用だったことがわかる上、看護スタッフの手がかかる時間が少ないことのメリットは大きい。もちろん家族も同様である。
リフレックスは、あたかもリエゾン向けに開発されたような抗うつ剤である。
リフレックスが使えず、サインバルタがむしろ良い患者さんはまずリフレックスで眠さが出る人。少なくとも、リフレックスに比べサインバルタの方が眠さが出ないことが多い。サインバルタは強力な抗うつ剤なので、やはり脱カプセルでもして半カプセルからが無難である。（10㎎）
①リフレックスの傾眠が酷すぎる場合、サインバルタに変更してみる。
またリフレックスで効果が少なく、増量すると眠さなどの副作用で使えない場合もサインバルタを考慮する。リフレックスは良くはなっても意欲がなく、リハビリも進まないケースがある。そのような際、意欲を積極的に出すタイプのサインバルタは良い。
②リフレックスでは改善していても意欲が今一つだとか、リハビリに消極的な高齢者はサインバルタに変更してみる。
サインバルタの注意点として腎障害に注意する。サインバルタの添付文書では、禁忌として、
【禁忌（次の患者には投与しないこと）】
1． 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。モノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者。
2．高度の肝障害のある患者［肝障害が悪化することがある。また，消失半減期が延長し，本剤の血中濃度が上昇することがある。（「薬物動態」の項参照）］
3．高度の腎障害のある患者［本剤の血中濃度が上昇することが
ある。（「薬物動態」の項参照）］
4．コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者［症状が悪化することがある］
など4項目が挙がっている。この中で、腎障害を指摘されているのは重要だと思う。と言うのは、向精神薬でこのように具体的に腎障害禁忌が挙がっているものは意外に少ないからである。
また、高度の腎障害を持つ高齢者はリエゾンの場面では結構あることもある。
③リエゾンで高齢者の腎障害が重篤な際は、サインバルタは選択しない。
リフレックスでは疼痛があまり改善しないことがある。あるいは、リエゾンの最初の紹介の際に既に疼痛が目立つことがある。このような際にはサインバルタを最初から選ぶこともある。疼痛にサインバルタが奏功すると、全てが一変するほどの改善がみられる。それはいかに疼痛が、食欲、不眠、日中の不機嫌、リハビリテーションへの意欲などに悪影響を及ぼしていたかがわかる。（看護スタッフや家族に非常に喜ばれる治療結果）。
④疼痛が酷いケースでは、サインバルタを優先することもある。
その他、高齢者では、リフレックス、サインバルタがともに身体疾患の禁忌や副作用で使えないか、あるいは実用にならないケースがたまにある。このような際は、いろいろな状況を踏まえ、問題が生じない範囲で対処する。
うつ状態＋食思不振＋疼痛の高齢者には、リリカも一考である。3つ揃っていなくても前者2つでも良い。リリカの良いところは、疼痛に効くのはもちろんだが、食欲を増し温和な抗うつ効果を持つことである。25㎎カプセルの少量剤型があることもよろしい。院内薬局にあればだが、ガバペンも選択肢に入る。
つまり、リエゾンで診る高齢者のうつ状態では、必ずしも抗うつ剤にこだわらなくても良いのである。
リエゾンは、結果ももちろんだが、オーディエンスの評価も重要なので、セオリーにとらわれない想像性のある対処が求められていると思う。
参考
老人の食欲を出すこと
リフレックスに7.5ｍｇ錠があれば・・
リエゾンでのリフレックスは成功率が高いNEW！
リエゾンでは糖尿病をチェックする
僕はリエゾンで紹介される高齢者にほとんどSSRIを処方しないが、これは主に食欲を減じることが多いからである。またSSRIは初期に焦燥が強く出て、夜眠らず騒ぐ事態を避けたいのもある。初期に出やすいのがポイントだと思う。
高齢者ではリエゾンの向精神薬で強く副作用が出た場合、病室を訪れる家族に対し非常に心証が悪いので、リフレックスでは半錠、つまり7.5㎎から処方することが多い。これで結構改善するので、高齢者向けに7.5㎎錠があった方が良いと思う。
過去にリフレックスの服用歴があったり、うつ病の治療歴がある人は1錠から開始することもある。
リフレックスでは、いくら半錠とか4分の1錠でも極めて眠さが酷く出て、実用にならないことがある。これでは、日中、食事を摂ったりリハビリをするのに困るので、リフレックスを中止することが多い。リフレックスは中止すると、速やかにこのような副作用が消失してしまうのはよろしい。
中止後、速やかに副作用が消失することは、確かにリフレックスの有害作用だったことがわかる上、看護スタッフの手がかかる時間が少ないことのメリットは大きい。もちろん家族も同様である。
リフレックスは、あたかもリエゾン向けに開発されたような抗うつ剤である。
リフレックスが使えず、サインバルタがむしろ良い患者さんはまずリフレックスで眠さが出る人。少なくとも、リフレックスに比べサインバルタの方が眠さが出ないことが多い。サインバルタは強力な抗うつ剤なので、やはり脱カプセルでもして半カプセルからが無難である。（10㎎）
①リフレックスの傾眠が酷すぎる場合、サインバルタに変更してみる。
またリフレックスで効果が少なく、増量すると眠さなどの副作用で使えない場合もサインバルタを考慮する。リフレックスは良くはなっても意欲がなく、リハビリも進まないケースがある。そのような際、意欲を積極的に出すタイプのサインバルタは良い。
②リフレックスでは改善していても意欲が今一つだとか、リハビリに消極的な高齢者はサインバルタに変更してみる。
サインバルタの注意点として腎障害に注意する。サインバルタの添付文書では、禁忌として、
【禁忌（次の患者には投与しないこと）】
1． 本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者。モノアミン酸化酵素（MAO）阻害剤を投与中あるいは投与中止後2週間以内の患者。
2．高度の肝障害のある患者［肝障害が悪化することがある。また，消失半減期が延長し，本剤の血中濃度が上昇することがある。（「薬物動態」の項参照）］
3．高度の腎障害のある患者［本剤の血中濃度が上昇することが
ある。（「薬物動態」の項参照）］
4．コントロール不良の閉塞隅角緑内障の患者［症状が悪化することがある］
など4項目が挙がっている。この中で、腎障害を指摘されているのは重要だと思う。と言うのは、向精神薬でこのように具体的に腎障害禁忌が挙がっているものは意外に少ないからである。
また、高度の腎障害を持つ高齢者はリエゾンの場面では結構あることもある。
③リエゾンで高齢者の腎障害が重篤な際は、サインバルタは選択しない。
リフレックスでは疼痛があまり改善しないことがある。あるいは、リエゾンの最初の紹介の際に既に疼痛が目立つことがある。このような際にはサインバルタを最初から選ぶこともある。疼痛にサインバルタが奏功すると、全てが一変するほどの改善がみられる。それはいかに疼痛が、食欲、不眠、日中の不機嫌、リハビリテーションへの意欲などに悪影響を及ぼしていたかがわかる。（看護スタッフや家族に非常に喜ばれる治療結果）。
④疼痛が酷いケースでは、サインバルタを優先することもある。
その他、高齢者では、リフレックス、サインバルタがともに身体疾患の禁忌や副作用で使えないか、あるいは実用にならないケースがたまにある。このような際は、いろいろな状況を踏まえ、問題が生じない範囲で対処する。
うつ状態＋食思不振＋疼痛の高齢者には、リリカも一考である。3つ揃っていなくても前者2つでも良い。リリカの良いところは、疼痛に効くのはもちろんだが、食欲を増し温和な抗うつ効果を持つことである。25㎎カプセルの少量剤型があることもよろしい。院内薬局にあればだが、ガバペンも選択肢に入る。
つまり、リエゾンで診る高齢者のうつ状態では、必ずしも抗うつ剤にこだわらなくても良いのである。
リエゾンは、結果ももちろんだが、オーディエンスの評価も重要なので、セオリーにとらわれない想像性のある対処が求められていると思う。
参考
老人の食欲を出すこと
リフレックスに7.5ｍｇ錠があれば・・
リエゾンでのリフレックスは成功率が高いNEW！
リエゾンでは糖尿病をチェックする