ストラテラとラミクタールの薬価について | kyupinの日記 気が向けば更新

ストラテラとラミクタールの薬価について

ストラテラはADHD、ラミクタールはてんかん及び双極性障害に使われる薬でカテゴリーは異なるが、これら2剤は、子供、大人、いずれにも処方される共通点をもつ。

ストラテラは当初、子供のADHDへの適応しか持たず、その後、18歳以上のADHDの人にも適応が広がり処方が認められるようになった。

一方、ラミクタールは最初、新規抗てんかん薬として発売になり、子供、大人いずれにも処方できるように剤型が発売されている。その後、ラミクタールは双極性障害にも適応が認められ、双極性障害に限れば単剤投与も可能になった。

ごく最近、ラミクタールは新規抗てんかん薬として初めて「てんかん」にも単剤投与できるようになった。これはラミクタールの催奇形性の低さや相互作用を考えると当然であろう。近い将来、イーケプラも単剤投与可能になると思われる。

今回は、ラミクタールとストラテラの薬価について。この薬価設定はとても興味深い。

ラミクタールの薬価(円)
2㎎ 16.6
5㎎ 31.8
25㎎ 99.8
100㎎ 267.4


ラミクタールは薬価の用量傾斜はあるものの、子供に対する処方はそれなりに安価に設定されている。新剤で2㎎錠とはいえ、16円と言うのは驚きである。

一方、ストラテラの薬価設定はやや奇妙なものになっている。

ストラテラの薬価(円)
5㎎ 272.5
10㎎ 324.7
25㎎ 409.5
40㎎ 461.2


ストラテラは(アトモキセチン)、子供、大人いずれにも滅茶苦茶高価な薬物と言える。なぜなら、用法は以下のようになっているからである。

用法・用量
18歳未満の患者
通常、18歳未満の患者には、アトモキセチンとして1日0.5mg/kgより開始し、その後1日0.8mg/kgとし、さらに1日1.2mg/kgまで増量した後、1日1.2~1.8mg/kgで維持する。ただし、増量は1週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日量は1.8mg/kg又は120mgのいずれか少ない量を超えないこと。

18歳以上の患者
通常、18歳以上の患者には、アトモキセチンとして1日40mgより開始し、その後1日80mgまで増量した後、1日80~120mgで維持する。ただし、1日80mgまでの増量は1週間以上、その後の増量は2週間以上の間隔をあけて行うこととし、いずれの投与量においても1日1回又は1日2回に分けて経口投与する。なお、症状により適宜増減するが、1日量は120mgを超えないこと。

大人では80~120㎎程度使われ、最低限80㎎、普通は120㎎程度使わないと効果が出にくいなどと言われているため、120㎎だと40㎎錠が3錠も必要である。つまり1日薬価として、1400円近くかかる。

子供では少し安価になると言った配慮もストラテラにはない。

ラミクタールとストラテラの薬価設定のこのような奇妙な相違は、ストラテラがADHDでは競合の少ない希少な治療薬であることに加え、当初は子供向けの薬として想定されていたことが1つの原因ではないかと思っている。

参考
ラミクタールと妊娠・出産
ストラテラのテーマ