健康食品関連の近年の主な有害事例 | kyupinの日記 気が向けば更新

健康食品関連の近年の主な有害事例

今日は、「医学部の生理学実習」の続き。

一般の西洋薬でも、時間が経って重大な副作用が発見され発売中止になることがある。例えばサリドマイド(長い年月を経て再発売)などである。

西洋薬は治験などで特別な有害作用がある場合、発売に至らないことも多い。また、発売後も市販後調査が義務付けられているため、国の監視が非常に厳しい。

従って、数十年間も販売継続されている薬は、有効性、安全性とも優れていると言える。特にジェネリックが発売されるような薬はなお更である。

サプリメントの難しい点は、そのような監視が緩いことなどから、副作用が出ていても長期に使われていたり、海外で既に有害作用が顕在化していても、販売されたりすることである。また、製薬会社のような十分な設備を持たない工場で製品化されるため、不純物が混じることもある。

今回は、健康食品、サプリメントによる近年の主な有害事例について。

クロレラ
症状:顔、手の皮膚炎 
1978年~1994年(日本)
1981年に厚生労働省から注意喚起。
光過敏症による皮膚炎を起こすフェオフェルバイドが製品に大量に含まれていたため。

L-トリプトファン
好酸球増多筋痛症候群(死亡例あり)
1990年(米国)
製品中の不純物、過剰摂取ならびに利用者の体質が被害に関連したと想定される(参考)。

ゲルマニウム
腎機能障害(死亡例あり)
1982~1994年(日本)
1988年に厚生労働量から注意喚起。
腎障害を起こす酸化ゲルマニウムを濃縮カプセルとして過剰に摂取したことが関連。

アマメシバ加工品
閉塞性細気管支炎
1996~1998年(台湾)
2003~2004年(日本)
2004年に厚生労働省から注意喚起。
海外では食材としての摂取経験はあったが、過剰摂取したことが被害に関連したと想定。アマメシバは未加熱で食べた場合、パパベリンが有害作用を及ぼすと考えられている。

アリストロキア属の植物
腎障害、尿路系の癌
1993年(ベルギー)
1998~2005年(日本)
2000年に厚生労働省から注意喚起。
アリストロキア属の植物(関木通、広防已など)には有害なアリストロキア酸が含まれている。

コンフリー
肝静脈閉塞性疾患など
1978~1985年(アメリカ)
1983年(香港)
2003年に厚生労働省から注意喚起。
海外での被害発生を受けて2004年に注意喚起情報が出された。コンフリーとは、和名ヒレハリソウ。有害なアルカロイドが含まれている。日本では昭和40年代に健康食品として大ブームになり、植えられていたものの一部が野生化。新生児にも胎盤を通じ悪影響がある。

タピオカ入りダイエットココナッツミルク
下痢
2003年(日本)
甘味料のD-ソルビトールの過剰摂取が関連。

中国製のダイエット茶「雪茶」
肝障害
2003年(日本)
本来の中国茶の飲用方法とは異なった利用法が被害に関連したと想定。

スギ花粉含有製品
アナフィラキシー
2007年(日本)
スギ花粉症の患者が、自己判断で花粉症の症状を緩和する目的でスギ花粉含有製品を利用。

クロレラの光線過敏性皮膚炎だが、向精神薬でもテグレトールやコントミンなどで比較的出現しやすい。従って、服用中に海水浴や高校野球の観戦に行った場合、酷い発赤や水泡などが出現し、大変なことになることがある。

なぜ、テグレトールやコントミンはそれが原因で販売中止にならないかというと、医薬品としての有用性でサプリメントとは圧倒的な差があるため。特に、これらの向精神薬が発売された当時はそうである。

今は、向精神薬の種類も増えたため、光線過敏症を避けるような選択肢も増えている。