トピナを飲むと怒りが溶けていく | kyupinの日記 気が向けば更新

トピナを飲むと怒りが溶けていく

トピナは実に不思議な薬で、このブログでもたまに記事をアップしている。トピナはどちらかというとアップ系の薬で「うつ状態が緩和する」という人がいる一方、自覚症状の変化を感じ取れない人も多数。

本人は何も変化を感じないが、家族が良くなっていることに気付くこともある。

ある時、診察中に、

トピナを飲むと怒りが溶けていく。

と語った女性患者さんがいた。ただし、

やる気も削がれる。でも、うつになるというほどではない。

と言う。彼女の場合、うつにも効いているのであろうが、どちらかというと効き方は抗精神病薬に似ている。あるいは抗てんかん薬的とも言える。(実際、抗てんかん薬だし)

この言葉「怒りが溶けていく」だが、どうも似たようなことをどこかで見たような気がした。わりあい知られた精神分析的格言として、

「超自我はアルコールに溶ける」というものがある。

飲酒は、一般に緊張、不安やさまざまな精神的苦痛を軽減する傾向がある。不安感が強く対人緊張が強い人が、時にアルコールを飲んで人前に出るのは、その不安を軽減するからである。そのような習慣を契機に次第に依存症に至る人もいる。

アルコールは誇大的な感覚をもたらす。アルコール摂取は、時に低い自己評価を曖昧にし、自らが有能であるという感覚を引き起こす。

音楽の記事に時々出て来るモリッシーは、多くの聴衆の前で歌うことにかなり緊張を感じるらしく、必ず1杯のワインを飲んでステージに上がると言う。


Irish Blood, English Heart(Morrissey)
モリッシーはアイルランド系イギリス人。マンチェスター出身で今年プレミアリーグで優勝したマンチェスター・シティFC のサポーターでもある。マンチェスター出身のロック・ミュージシャンはたいていマンチェスター・シティFCのサポで、世界的に有名なマンチェスター・ユナイテッドのサポは少ない。

参考
トピナは精神療法をするのか?
リフレックスの悪夢とトピナ⑨