3人の不登校 | kyupinの日記 気が向けば更新

3人の不登校

僕は、昨年、「魔法の薬」の子を含め、3人の不登校の初診を経験している。だいたい、うちのような単科精神病院には不登校は来ない。だから、昨年はたまたま3人来たが、今年はゼロかもしれないと思う。

今回、初めて触れる人であるが、もう1人、高校に入ったばかりの男の子が不登校で初診した。高校生なので不登校と言ってしまうのは微妙だ。

なぜうちに来たか聞くと、僕の内科を開業している大学時代の友人が僕に紹介したようだった。もちろん口頭で言ったらしく紹介状もなかった。彼は家族と一緒に来ていたのだが、診察の最初頃、うちの病院には滅多に不登校の子は来ないというような話をした。家族は驚いて、僕がけっこう専門家のようなことを彼から聞いたと言った。(参考

僕は内科医は精神科の事情を良く知らないので、とりあえず精神科に紹介した感じでしょうと応じた。滅多に来ないのは事実なので仕方がない。

その子は統合失調症やアスペルガーとはほど遠く、あえて言えば、「社会不安障害の軽いもの」くらいだった。こういう場合、定石的にはSSRIが良いが、こんな子にいきなりそういう治療はしたくはない。それに「社会不安障害の軽いもの」なんて、限りなく性格に近いと思う。

とりあえず、例のクロールチンク塗布療法をさせてみることにした(参考)。とっても痛いけど、なんとか続けるように彼に言った。彼は真面目にも、学校の帰りに本当に紹介状を持ち自転車で耳鼻咽喉科に行ったらしい。

この結果だが、目から火が出るほど痛く、2度としたくないと思ったと言う(本人の話)。結局、1回でやめてしまった。やはり不登校と一見、因果関係がなさそうに見えるのが悪いと思う。薬よりはまだ敷居は低いと思うのだが。

僕は、緊張を弱めることができるなら、この子に限れば良さそうに思ったので、ドグマチールとメイラックスの少量のみ勧めた。最初、耳鼻咽喉科に行くまでは処方はしなかったのである。

その後だが、その少年は無事、高校に通っている。クラブにも参加しているらしい。今も服薬をしているけど。まあ、この子に限れば誰がやっても同じ結果になったような気がする。一発、「目から火が出た」影響は謎だ。

問題はもう1人の中学生の男の子。
彼は僕の患者さんのお孫さんなのであるが、最初はなんだかバカみたいに僕は楽観していた。何かの拍子に、すぐに学校に行けるような気がしていたのである。

最初、クロールチンク塗布療法を1クール行ったが、全くの無効であった。だいたい、あまり痛がってもなかったらしい。(痛くないので続いた面が相当にある)

その後しばらくはぼんやり様子を見ていたのだが、途中、わずかにベンゾジアゼピンやドグマチールも使っている。一度、バッチフラワーのレスキューレメディを使った時、ちょっと行動面が荒くなったというので、その後、さらに慎重になった。今はバッチフラワーも使用していない。

今はセパゾンやドグマチール、そのくらいを服用させて様子を見ている。はっきりいって、彼は今、学校に行かない方が良いと思う。

僕は現在、統合失調症でない患者さんを診ていて、その後、統合失調症に発展した人を経験したことがない。これはいつだったか過去ログでも書いたことがある。この子は、まだ中学2年生なのである。純粋な確率を言えば、今後その可能性がないとは言えない。なんとなく慎重になるのはそのような理由もある。

彼は、今、友人のところには遊びに行ったりしている。友人とは遊べるので部分的なひきこもりとは言える。彼は、正体がつかめないのだ。

統合失調症でもなければうつ状態でもなく、また今流行のアスペルガーでもない。僕は彼は学校の成績は悪いと思うよ。不登校になる以前から。今のままでも、家族から苦情がないのが助かると言ったところ。

どうも、なんかの拍子に学校に行けそうな気は今でもしている。

結局3人来て、2人はうまくいったけど、1人は良くならず様子見をしているといった感じだ。