光がまぶしい? | kyupinの日記 気が向けば更新

光がまぶしい?

先日、往診していて面白い症状に出遭った。その患者さんはけっこうな年齢だったが、矍鑠としていて受け答えもはっきりしていた。時間をかけて診たわけではないが、その病院に入院後、次第にピリピリした様子になり、イライラして他の患者さんに文句を言ったりしたのだという。隣の患者さんのテレビの明かりがまぶしいと言い文句を言ったこともあった。


面白い!
皆は何だと思う?

薬物履歴を見ると、内科の薬も出ていたが、入院前に一般内科でパキシル が投与されていて入院後中止になっていた。ちょうどトラブルのピークが中止後5日目。もう僕が診た時は、全く症状は消失していた。確定ではないが、パキシルの離脱症状が最も疑わしい。パキシルは内科などでけっこう使われているが、離脱症状は周知されていないというか、軽視されすぎていると思う。


今回の場合、光がまぶしいというのが、ちょっと変わっているけど、いかにもSSRIっぽいと思うんだよ。感覚の閾値が下がると言うか、感覚が奇妙に敏感になること。余談だが、そこの主治医の先生が症状が出た後、ワイパックス の0.5mgを1日2錠処方していた。どんな風に思ったかわからないけど、なかなか良い選択と思った。まぁ放っておいても良くなったとは思うが、ワイパックスは悪くない。なぜワイパックスを選んだのかがちょっと謎。他科のドクターはあまり知らない薬にも思えるので。ワイパックスは抗不安薬なんだけど、精神病的な症状もわりと改善するようなところがあるので、こんな選択は悪くない。


もっと謎なのは、その人にパキシルが処方されていたこと。病歴を見た限り、パキシルを処方すべき瞬間なんて全然なかったんだけどね。老人だけに、100歩譲ってSSRIを処方するにしてもデプロメール の方が良かった。結局、診察して、何もせずに説明だけで終わり。本人は診察時の僕の説明も完全に理解していたよ。グラクソ・スミスクラインは幅広く他科に営業するだけでなくて、もうちょっと情報提供すべきと思う。