レンドルミン | kyupinの日記 気が向けば更新

レンドルミン

一般名;ブロチゾラム
(=グッドミン)

短期型睡眠導入剤。1998年に日本ベーリンガーから発売されており、これでも比較的新しい睡眠導入剤にはいる。剤型は0.25mgしかないが、口腔内崩壊錠のレンドルミンDという剤型?も発売されているので、正確には2剤型とも言えるのかもしれない。普通、用量としては0.25mgで処方されるが、麻酔前投薬として0.5mgの処方が認められている。この用量の扱いだが、いまいちよくわからない。レンドルミンは僕は0.25mgでしか処方しないのだが、たまに紹介されてうちの病院に来る患者さんで普通に0.5mg投与されている人もいる。マイスリー などは、統合失調症やうつ病の投与についてバカに厳格に審査されるのに、レンドルミンの投与の用量オーバーについては、比較的寛大のような感覚もある。とりあえず麻酔前には、0.5mg処方できると書かれているからかもしれない。レンドルミンの半減期は6.8時間と言われている。これは、睡眠導入剤の中では比較的短期に入る。


半減期の短い睡眠導入剤(単位:時間)

エバミール     10
レンドルミン    6.8
ハルシオン    2~3.5
アモバン      4
リスミー      10
マイスリー     2
(デパス      6)


これをみると、短期型の中では中ぐらいと言える。添付文書などをみると、特に健忘の出現に触れていないし、臨床上もそのような訴えをあまり聞かないので、短期型眠剤にありがちな副作用は少ないように見える。レンドルミンで、はっきりと併用禁忌とされている薬物はない(併用注意は記載あり)。レンドルミンは主として肝代謝酵素CYP3A4で代謝される。


ところで、一般にベンゾジアゼピン薬物とか言われるが、このレンドルミンはベンゾジアゼピン系に属していない。レンドルミンはちょっと舌を噛みそうになるが、チエノトリアゾロジアゼピン系と呼ばれるのである。この名前、ちょっと見覚えがないだろうか? すぐに気がついた人はすごいと思うよ。デパス はベンゾジアゼピン系ではなく、チエノジアゼピン系と呼ばれる。たぶん、この名前から来ているのである。デパスは当時吉富薬品(現、三菱ウエルファーマ)の開発した抗不安薬である。普通、製薬会社は新しい構造式を持つ薬物を開発した場合、ちょっと構造式が変化した薬物について薬理特性を調べ、同じような効果を持つ場合は、片っ端から特許?を取っておく。なぜなら、あとでその派生薬物の方が薬理的に優れているという事態が生じることがあるからだ。レンドルミンは、構造的にデパスに非常に似ており、特徴はBrがついていることであろう。一般名についてもこのブロムが入っていることにちなんでいるように見える。吉富薬品はいろいろ薬物を調べたのに、この構造式については盲点のように特許をとってなかった。後にベーリンガーがこの薬物をパクり(この言い方はちょっとまずいが)いや発見し、レンドルミンとして商品化したのであった。現在、吉富から、グッドミンという同じ薬物の商品が発売されているが、これはゾロになるのでレンドルミンより薬価が安い。まさに吉富、何やってるの?と言う感じなのである。レンドルミンは、比較的オーソドックスな短期型睡眠導入剤としてバカ売れしている。マイスリーは統合失調症およびうつ病に処方できないことになっているので、ハルシオンアモバン などと並んで、良く処方される短期型睡眠導入剤の1つとなっている。