私が通った高校は、生徒の9割以上が進学する高校だった。
中学生まで一応成績上位にいた私は、高校に入ってから完全に落ちこぼれた。
表面上は、グレていたわけではない。
陰で飲酒・喫煙はしていたけれど…
どんどん落ちこぼれ、授業にはついていけなくなった。
成績は下がる一方で、通っていた進学塾もやめた。
子どもの頃から、小学校の教師になることが夢だった。
でも現実は難しかった。
私の成績で進学できる大学は皆無だった。
そこで、方向転換をした。
資格取得のため、大学・短大・専門学校と、あらゆる学校をリサーチした。
子どもの頃からの夢をあきらめることができても、一生あの家に住むことは考えられなかったから。
片田舎に住んでいたため、自宅から通える大学はない。
クラスの半分以上が関東へ出るようだった。
そんな流れに乗って、私も東京の専門学校へ通うことにした。
同級生が有名大学に進学する中、専門学校に通うことになった私は、その頃から学歴コンプレックスを持つようになった。
東京は未知の世界だった。
初めて渋谷に行ったとき、祭か?と思うほどの人の多さに驚いた。
テレビで見た<109>の建物を見て感動した。
山の手線に乗り遅れた~~~!と思ったとき、次の車両がすぐに駅に滑り込んできたことに驚いた。
時刻表なんかいらないじゃん・・・とさえ思った。
毎日が新鮮で、とにかく楽しかった。
それでも、最初の1ヶ月は地獄のように苦しかった。
1年は全寮制の学校だったから、初めての集団生活。
そして、初めての女ばかりの世界。
毎日枕に顔をうずめて泣いていた。
家を出ることだけで嬉しかった。
それなのに、ホームシックにかかった私。
とても不思議な感じだった。
上京して1年経ってから、一人暮らしを始めた。
他人に気を遣わずに生活できる自分の城を持てたことが、とても気楽だった。
自分のペースで生活し、国家試験にも合格した。
就職も、地元に帰ることはしなかった。
そのまま関東に住み続けることになった。
今思い返すと、あの頃が一番イキイキしていたのかもしれない。
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