『紫人荘の殺人』を原作でよむ | 英語講師土岐田健太の「教養」から学ぶ英語の授業〜出版・映像授業編〜

英語講師土岐田健太の「教養」から学ぶ英語の授業〜出版・映像授業編〜

全国の社会人、大学生、受験生対象に「英語の教養・文化から学ぶ英語」の授業をしています。33歳で出版中心生活へ。映像コンテンツ、本の執筆などを通して「自力で学問をするための英語」、「将来どこでも通用する英語」を伝えていきます。



映画化された『紫人荘の殺人』。

このブログは本のレビューブログとして登録しています。

せっかくなので、『紫人荘の殺人』について原作オススメポイントを書きます。ネタバレはしないように細心の注意を払いつつ、書いておきます。実は映画館に二回観に行き、さらに原作も二回読むくらいハマっています。

①「メタ・ミステリー」

ミステリーをミステリーする
「メタ・ミステリー」の要素があります。そもそも、なぜ紫人荘が外界から閉ざされた空間になるのか?そして、誰がこの事件を起こしているのかという問いはまさにミステリーの定番。

一方、定番を覆すような斬新さも同居しています。シリーズ続編もすでに我が手中にあり、今村ワールドにやみつきになりそうです。ミステリーでは貫井徳郎の『慟哭』が僕の中では不朽の名作なのですが、プロットの巧みさは勝るとも劣らないものでした。メタ・ミステリーの要素が満載で、ミステリー好きにはたまらない仕掛けです。密室トリックも作中のミステリーオタクにより、あっさり解けたと思ったら意外なトリックが使われていて、ホテルを半年くらい宿泊に使う身としてはやや恐怖の念を禁じ得ません。

②心理描写とトリックの巧みさ

主人公の葉村君の葛藤や心理描写が原作を読むと細やかです。映画で葉山君の謎に見える行動も、原作で「なるほど!」とわかるかもしれません。

※素晴らしい役者さんたちの手による、原作とはまた違った表情の変化にも注目です。

「動機」がトリックの選択と関係しているのが原作最大の巧妙さであり、かつ人間の不条理を体現しています。

小学生の時からミステリー好きで、色々な作品を読んできました。その中でも、動機とトリックの選択が大きく関わった点は新規性を感じました。

才能ある若いミステリー作家が現れ、また日本にミステリーブームが起こるかもです。同年代のスゴい方の活躍に、僕も本の執筆頑張ろうと思えました。