そんな中で今回は不思議なほどにしっかりと作品と向き合うことが出来ている。
作品の本質って何だろうということはいつも考えていることだけど、トゥイという役をやっていて、自分よりもキムを見て欲しいなんてことを感じながらやったのは初めてだ。
いや、キムを見て欲しいというのは物凄い驕りで、、、トゥイがしっかりとキムを追い詰めていくことで、キムという人間を浮き彫りにできるのかと、思った。
だから今回はより自分を追い詰めなきゃいけないと心から思った。
作品に流れていることというのは、俺が心から思っていることはまだ作品が続いている以上は言う必要はないし、それは観た方が感じ取ってもらったことが全て。
ただ、俺はこの作品の中で何度見てもサイゴンが陥落するヘリコプターのシーンに心が揺さぶられる。
あの絶望。
あのシーンには出ることができないけど、あんなにも世界の絶望を体感できるシーンは他にないと思う。世界の縮図というか。
チームプレイとか昔から苦手だから言いたくないけど、一人一人が作品を成立させる方向に向かうことができれば、作品全体は莫大なエネルギーを持ち、この作品が大きなメッセージを携えていけるんだと思う。
そのためにも今日もできることをやろう。
神田恭兵