暑い夏真っ盛りの中始まった稽古もあっという間に過ぎ去り、気がつけば秋。
何だろう。
今日はボーッと過ごしてました。
そう、『明日のミス・サイゴンを100倍というわけにはいかないけど、1.2倍くらい楽しめる何か』を俺には伝える義務がある‼︎
って、公式ツイッターは公式だから衣装だったり、キャストの方だったり、動画だったり、スタッフさんだったりとてんこ盛りでお届けできるけど、俺のブログは手も足も出ないじゃん。
悔しいじゃん。
というわけで、稽古の時に気がついたこととかをちょっとお話ししますね。
いつのパンフレットなのか分からないけど、多分初演の時のものなのかな?
オリジナル公演の演出家ニコラス・ハイトナーさんやアラン・ブーブリルさん、そしてキャメロン・マッキントッシュさんのミス・サイゴン上演に向けてのインタビュー記事みたいなものを、稽古の最初に資料として頂いた。
時間のある時にそれをさーっと読んでいると、印象的な一文がそこにはあった。
「異なる文化の中で育った二人の男女のすれ違いというバタフライ(オペラになった蝶々夫人のこと)の基本テーマをもとに、戦っている国同士の男女が深刻に亀裂を深めていくという、現代史の悲劇をからめつつ、われわれ独自のストーリーを書いていこう、、、」というアラン・ブーブリルさんの言葉。
『異なる文化の中で育った二人の男女のすれちがい』
これをテーマにこの作品を紐解いていこうと思った。
様々な文化が入り乱れていたベトナム。
古くから互いを知っていたはずのキムとトゥイですら、もしかしたら異なる文化まではいかないかもしれないが、文化に通じる何かのすれ違いが生じていたんじゃないか。
大切にしようと思う心の支えが別々のものであってもおかしくはない。
そして明らかに異なる人種であるキムとクリスが想いを通わせることのできるのに、身体は近いはずのトゥイには果てし無く遠い。
文化と人種と現代というコミュニティが地理で見えるだけの距離感とは違った世の中を映し出す作品。
8年間この作品に携わってきて、いやもしかしたら日本というある意味で異文化の交流が少ない国にいてこそ気がつかない部分を呼び覚ます言葉でした。
とまぁ、トゥイを作るピースの一部でしたが、そんな異文化を表すシーンを音楽の中から紹介。
M13.The morning of the dragon
この歌稽古をしていた時に、音楽監督であるビリーさんがアンサンブルメンバーに言った言葉が忘れられない。
「この音楽は三連符で捉えちゃだめ。」
どういうこと?
歌ってみると分かるんだけど、限りなく8分の12に近い刻みをしてるんだけど、それをしっかり4分でマーチのように歌っている。
だから全部拍の頭にアクセントがついている。
でも
エンジニアが登場した途端に1拍を三連符で刻んだ最後の音にアクセントがついていて、スウィングしてるような音楽になる。
リズムでアメリカに未だにひかれているエンジニアの心を表している。
それからこのシーンはアクセントが頭の4拍子とスウィングが入り乱れて進んでいく。(入り乱れるから、アンサンブルメンバーの音符の取り方が乱れがちになって、そんな注意を受けたというわけです)
あぁ、面白い。
余裕があったら是非聞いてみて下さい。
さぁて、明日になっちゃいました。
ミス・サイゴンをお楽しみ下さいませ!