覚えているのは、この役を演じることになって、そのコトの大きさに簡単に言えば落ち込んだ日々と、稽古が始まってからは、何が正しいか分からない。まるで雲を掴むような感覚で芝居というものを探していたなぁということ。
あの時に色んな先輩方に言われた一言一言、実は今でも覚えてます。
例えば照井さんに「もっと胸の下みぞおち辺りで言葉を聞いた方がいいよ」とか小森さんに亡霊のシーンで「何かをやろうとしてはダメ。シンプルにすることで十分に怖いのかもしれないよ」。
これは、俺の中でかなり大きな言葉として心の中に刻み込まれている。
そういえば、毎回現場に行って自分と同じような何も知らない人はいないから、先輩にいつも「どうやって稽古に向き合えばいいのか?」「楽屋でのいかたは?」「舞台化粧のやりかた。」とか全部聞いて教えてもらっていた。
事務所も色々あった時期だったから、自分の先輩がほとんどいないという状況で、必死になっていた。
昨日も、打ち上げの飲んでる途中にとある初帝劇の役者さんが、「自分なんかが帝劇に立って大丈夫なのか、心配でしかたない」という言葉を言っていた。
思わず、「そう思ってるなら大丈夫じゃない?」って言ってしまった。
不安と恐怖と刺激と、、、数え切れない感情の中で舞台という芸術は成り立っている。
そして自信が持ちたくて稽古を必死にやるけど、本番では毎回違うキャスト、違う環境、違う体調。
不確定要素が、たくさんある。
俺も不安で仕方ない。結局はビビりながら袖の見切れラインの一歩外で「今日も自分らしくできますように」と祈っている。
でも一歩その線を乗り越えると、信じられない位に様々な感情の溢れた世界が待っている。
ある意味8年で知ったこと。
芝居はいまだに下手だなって自分のこと。思うし、歌もダンスもまだまだ、、、
でもあの時とは違うものが描けるはず。
そう強く信じて、残りの時間を濃厚に過ごしていこう。