伊勢神宮・式年遷宮いろいろ | KANSAI SANPO

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  +伊勢神宮125社巡り

  ---「神宮式年遷宮」---

 

伊勢神宮では20年毎に社殿などを新しくする。

 

そんなことはみなさんよくご存じだと思います。

 

内宮・外宮の正宮や、14ある別宮などには社殿の隣に同じ広さの敷地があります。

 

それらは現在は「古殿地」と呼ばれています(意味は読んで字のごとく)。

 

次の式年遷宮に向けての行事・神事が始まると、

 

それらは「新御敷地」と呼ばれるようになります。

 

 

 

 

 

外宮・手前は古殿地



式年遷宮と言っても話題になったのは2013年のこと。

 

思い出話としては昔すぎますし、次の式年遷宮(2033年)には気が早すぎる話題。

 

「誰が興味あるんや?」てな話ですが、実はかろうじて現在進行形でもあります。

 

次の伊勢神宮参拝時の話題として、あるいは同行者にドヤ顔で語る自慢ネタとして、

 

神社好きの方ならしばしお付き合いください。

 

伊勢神宮とは内宮・外宮の正宮を筆頭に

 

14の別宮、そして摂社・末社・所管社合計125社の総称です。

 

そのうちの摂社・末社・所管社の多くは(例外はありますが)、

 

実は20年毎に新しく建替えられるわけではありません。

 

20年で「修繕」が行われ、次の20年ですべて新しく建替え(造替)られるのです。

 

また摂社・末社・所管社の中には新御敷地(古殿地)を持たないものも多く、

 

修繕や造替の方法もそれらの状況によって異なるのです。

 

 

■新御敷地(古殿地)を持つ神社の場合

 

 

 

 

 

 

上の写真は2023年3月5日に撮影した川原神社です。

 

向かって右側にある社殿は「建替え用の敷地」に建てられた「仮殿」です。

 

このあと向かって左の本殿から御祭神を遷して修繕工事が始まります。

 

これを「仮遷座」と言います。

 

この仮殿は簡略な造りで、他の神社の工事でも使われるものです。

 

 

 

 
 

 

2023年3月5日の川原神社については、上記記事をご参照ください。

 

 

 

 

 

 

こちらの写真は先日(2024年3月17日)撮影の川原神社。

 

仮殿は撤去され、御祭神は元通りこの本殿に遷されています。

 

これを「還座」と言います。

 

修繕なので敷地は元のままで遷っていません。

 

 

 

 

 

 

修繕では全てが新しくなるわけではなく、一部古い部材が再利用されることがほとんど。

 

上の写真のように、棟持ち柱などは古い部材がそのまま使われているのがわかります。

 

川原神社は次の20年で建替えが行われ(「造替」と言います)、

 

隣の敷地に全てが新しい社殿が建てられるのです(「遷座」と言います)。

 

 

■新御敷地(古殿地)を持たない神社の場合

 

1.近くに関連の神社がある場合

 

 

朝熊神社(右)と朝熊御前神社(左)

 

 

 

上の写真は朝熊神社(向かって右)と朝熊御前神社(同・左)。

 

この両社の場合、朝熊神社の御祭神が朝熊御前神社に遷され(仮遷座)

 

朝熊神社の造替が行われました。

 

新社殿が完成後、朝熊御前神社から朝熊神社の御祭神が遷座。

 

元の位置にある社殿に戻る形ですが、新しい社殿なので「還座」ではありません。

 

次に朝熊御前神社が同じような行程で遷座されました。

 

修繕の場合も同じ行程ですが、完成後は「遷座」ではなく「還座」となります。

 

 

2.近くに関連の神社がない場合

 

 

 

 

 

 

上の写真は2018年10月1日の御塩殿神社。

 

近くの空いた場所に仮殿を建てて、造替工事が行われました。

 

この撮影時には遷座は終わっていたのですが、仮殿が撤去される直前の画像です。

 

 

■摂社・末社・所管社の式年遷宮まとめ(一部例外あり)

 

20年で修繕

 

1.新御敷地(古殿地)がある場合

    新御敷地(古殿地)に建てた仮殿に「仮遷座」→工事完了後「還座」

2.新御敷地(古殿地)がない場合

   a.近くに関連の神社がある場合

     関連の神社に「仮遷座」→工事完了後「還座」

   b.近くに関連の神社がない場合

     域内(境内)に建てた仮殿に「仮遷座」→工事完了後「還座」

 

 

次の20年で遷座(造替)

 

1.新御敷地がある場合

    新御敷地に新しく社殿を建てる→工事完了後「遷座」

2.新御敷地がない場合

     a.近くに関連の神社がある場合

       関連の神社に「仮遷座」→新しい社殿の工事完了後「遷座」

     b.近くに関連の神社がない場合

       域内(境内)に建てた仮殿に「仮遷座」→新しい社殿の工事完了後「遷座」

 

 

こういった社殿の工事や、真新しい社殿の姿が見られるチャンスはまだあります。

 

 

 

 

 

 

 

この写真は外宮域内、北御門すぐの径の奥にある大津神社です。

 

修繕工事が終わったのは2023年5月。

 

そのすぐお隣にある度会国御神社は、これから修繕工事が始まるところ。

 

 

 

 

 

 

 

向かって左側が仮殿で、簀屋根(すやね)の工事が始められているのが本殿です。

 

この写真は3月18日に撮影したもの。

 

通例でいけば、1か月半~2か月の間はこういった光景が見られると思います。

 

また内宮の近く中村町の月讀宮にある葭原神社(あしはらじんじゃ)でも

 

近く修繕工事が始まると予想されます。

 

ただし摂社・末社・所管社の造替・修繕の情報は

 

残念ながら伊勢神宮公式サイトなどでの告知はありません。

 

私は伊勢市在住の125社巡ら~仲間から情報をもらっています。

 

彼は125社巡りの強者であると同時に、

 

昼休みのウォーキングで、数百枚の写真を撮り回るという変態です。

 

 

 

※この記事ではほとんどの画像の縮小サイズを間違えておりました

 いつもより大きくて写真が「うるさい」と思いますが、御勘弁を。