出来るか出来ないかと言えば、吸引自体は誰でもできると思う。
ただ吸引棒を動かしていけば誰にでもきる。
もうずいぶん昔だが美容外科に転身した頃は先輩方(共立四天王)が脂肪吸引をしているのを見て、いつか自分もこういったスケールの大きい手術をしてみたいと思った。
「いや、こんなの誰でも出来るよ」
「(脂肪吸引は)疲れるから早くできるようになってやってよ」
など笑いながら言われたが、それは半分正しく半分間違っていることに最近ようやく気付いた。
もちろん件数を重ねて徐々に慣れてくる、色々なコツを覚える、リスキーなポイントもわかってくる、術後の状態の予見ができる。
多分2年前後で一通り慣れてきたときに
「あ、なんとなく慣れてきたかな、わかってきたかな」
という通過点がある。ああ、やっぱり2年前後やれば誰でもそれなりに出来るものなんだなと誤解する。
でもそれが誤解であることに気付いたのはようやく最近。意識してないがふと周りを見渡すと急に視界が広がっている。まるで山登りに必死で周りを見る余裕がなく、いつの間にか稜線に出て素晴らしい眺めが広がっていた、と言い換えればいいだろうか。
数年前に「コツをつかんできた」というのは恥ずかしいくらいの誤解。
ようやく最近少しは自信を持って脂肪吸引のこつがわかってきたかもしれない。そしてまだピークは上であるが、その道筋はある程度見えてきている。