さて、精神科である。(何が?)
暫く旦那はここで本格的に生活をする事となる。
またしてもスマホは使えないので用があった時は一々電話をして呼び出してもらわないといけないという大変不便な生活に…
奴からの連絡は殆ど皆無なので、何をしているのか、何が必要なのか全く分からない。
時々こちらから連絡をし、必要な物資を聞いて都度届ける、と言った形をとっているのだ。
入院前の診察では先生曰く、
『これから離脱が出てくると思います』
との事だったのだが、
まあ今回は家に帰ってもらうわけにいかないから入院は逆に長引いた方がいいな。なら離脱が出た方が入院も長引くだろう。
と考えていた。
最初に足りない衣類や現金等を届けに行った時は、まだ至って普通だった。
ここの病院では、面会は部屋で出来ないので専らホールでの面会となった。
前回の入院では、まだコロナ禍だったから本当に色々が手間だった。
面会もガラス越しだし、会話もまともに出来ず、離脱が起きて拘束されても勿論会うことは叶わず。
それに比べて今回は本当に緩くなっていた。
が、ホールには入院中の他の患者さん達がぞろぞろいるのでこちらは全く落ち着かない。
なるべくならあんまりここには来たくないと思った。
面会は一週間に一度のペースでいいな、
中には毎日面会に通っている家族もいると聞いた。
翌週の面会には、寒いからと言われて(その時外はまだ夏日が連日続いていた)ヒートテックを何枚か差し入れた。
衣類は増えて行く一方だ。
その時の奴の様子が少しおかしかった。
謎に、近所にセブンイレブンが新しく出来たでしょ、とか(出来てない)、持って行ったハーフパンツを見て、今履いてるよ、とか。
他にも噛み合わない会話がいくつかあったので、
これは離脱せん妄を起こし始めたな。
と思っていた。
先週、面会に行く日の前日の事。
珍しく奴から電話がかかって来た。
『坦々麺とお握りと、なんか甘いパン買って来て』
『えっ、食べ物なんか差し入れていいの??』
未だかつて食べ物は差し入れた事が一度もなかった。何となくダメとか言われると思ってて。
『大丈夫だよ、皆食べてるし』
『そうなの??うーん、じゃあ買ってくよ』
万一ダメって言われても持ち帰って食べればいいか。
実際に持って行って看護師さんに中身をチェックされたが『大丈夫ですよ』と言われた。
奴はと言えば、
別におかしな所は一つもなかった。
離脱はどうなったよ。
が。
『なんか左手が前より動かなくなってない!?』
左手がだらんと下がったまま
『そんな事ないよ、動くよ』
『だって意識して動かさないと動いてないじゃん!』
『そんな事ないって』
と言いながら奴は
右手だけで缶コーヒーを開けていた
『そう言えばね、また頭から血を抜くかもしれないんだって』
『へ!?誰が言ったの!?』
『先生が。明日もう一回CT撮るって』
『でも私の所には何も言ってきてないよ!そんなしょっちゅう手術なんか出来んわ!そんな金ないよ!』(実際は入院保険が返って来てる)
『電話来てないの?』
『一回も来てないよ』
『この病院は放ったらかし病院だからな。そうだ、夕飯要らないって言っとかなきゃ♪』
『え、この差し入れを夕飯にするの?』
『うん、ここのご飯不味いから』
ナースステーションで奴は、今日は夕飯要らないと伝えたが、
『え?なんで?』
と、目つきの悪い女性スタッフから咎められていた。
『差し入れ貰ったから』
『それはダメですよ。ご飯を食べるのも治療の内なんだから。ご飯を食べて、また別に差し入れを食べるなら良いです』
『え…』
この言葉に奴は、
絶望したようである。
奴は、
石になっていたWWW
『ちょ、やだそんなにショックだった?(笑)夕ご飯残せばいいじゃんなんなら(笑)』
『……』
『なに?ご飯残すと立たされたり正座させられたりでもすんの?(笑)』
『…いや』
『じゃあ残してそれ食べればいいじゃん』
そう言ってやっても奴は
石になったまま動かなくなってしまいました(笑)
その後は何となくモヤモヤした気持ちを抱えながら帰宅した。
そして。
このモヤモヤが
翌日非常に頭を抱える事となったのである。
つづく