贅沢病 | 怒涛の3ヶ月~2年目

怒涛の3ヶ月~2年目

旦那のアルコール依存症→精神科外来→離脱せん妄→借金地獄→断酒→スリップ→精神科入院→現在



幼稚園時代の頃から病気というものに憧れを持っていた。

私は小さくて細っこいくせに、昔から体だけは丈夫だった。

たまに風邪をひいても発熱はしない。

熱が無ければ幼稚園へは行かなくてはならない。

私は幼稚園を休みたくて仕方がなかった。
特に休みたい理由は無かったが、私にとって幼稚園は別段楽しい場では無かったのだ。

私は大層な『甘えっ子』だったので、一日中でも『ママ』と一緒に居たかったと言うそれだけの話しである。


当時、『電気ポット』なるものは存在せず、傾けただけでお湯が出る『保温ポット』が我が家にはあった。

それが何故か部屋の床のど真ん中に置いてあった事がある(父が置いていたらしい)

ポットの周りで私はクルクルと踊っていた時(謎)、ポットを誤って蹴飛ばしてしまい、当然ひっくり返ったポットから熱湯が飛び出した。

モロに足の甲に熱湯がぶっかかり、母におんぶされて医者に駆け込んだ事があった。

私は当然泣き喚いていたが、心の片隅で、
(明日から幼稚園に行かなくて良いんだ!ラッキー!)
と思った。

足の甲は、翌日にはでっかい水膨れが出来たが幼稚園を休めたのは物の二日くらいだった…。


小学校へ上がってからも私は健康体で、発熱知らずだった為に休めたのは『学級閉鎖』の時くらいだった。

たまに発熱しても翌日には必ず治まり、学校を休むのにも一苦労した。


40代を越えた頃からである。
冬の私の誕生日を迎える近辺になると毎年、
『原因不明』の高熱が出るようになった。又は胃腸炎だ。

恐らく一年の溜まっていた『疲れ』が毎年この時期になると出たのだろう。


大人になってからはこの『発熱』は歓迎されるべき事では無かった。

仕事も休まなければならない。
仕事を休むという事は、シフトに穴を空け他の人の迷惑になる。

そして家の事は誰もやろうとはしないからだ。

これは多分、殆どのお母さんが経験している事では無いだろうか??

『ご飯くらい適当にするから気にしないで!』

とは言ってくれるが、体調不良も数日にも及べば、毎日コンビニ弁当と言う訳にも行かないだろう。

そして溜まる洗濯物。

(熱がピークを迎えたな!)と思ったと同時に
『ロキソニン』を素早く流し込み、少しでも熱が下がった瞬間に、

洗濯とご飯作りを一気に片付けよう、と言う戦略だ。

自分はとても食べられる状態では無いため、よろよろと息を切らせながらコンビニへ行き、
プリンだのゼリー飲料だの、栄養ドリンク等を購入し、それで済ませるのだ。


先日そのような話しを母にしたら、

『私もそうだった!強い解熱剤飲んで薬が効いてる間に片付けてたよ』


そ、そうなんだ……。そうか、ではもしかしたら世間のお母さん達も同じような事をしているのかも…と思った(勿論そうでない方も居るだろう)


家族は誰も、そんな体調不良を押してまで家事をやらなくても良いのに。
と思っているに違いないが、一体何が私を突き動かしてるのだろうか。

恐らく家族は体調不良にも関わらず、洗濯したりご飯を作っている私に対して若干の気まずさはあっただろう。


良くよく考えたら何もしないで寝ていれば良いのに、

バカみたい(笑)


しかし、
最近になって、またたまには病気の一つでもして誰かに『心配されたい!』と思う事がある。

倒れて入院するのはいつでも旦那。

私か去年手術入院した時も、私よりも重篤な患者さんばかりが面倒をみてもらい(当たり前だが)
『たかが口の中のちょっとした手術』
くらいでは、殆ど構ってもらえず(笑)

何となく最近になって『甘え心』が復活したのだろうか。

病気がちな人からしてみれば、私のような存在は

鼻持ちならないバカ

と思われそうだが。

贅沢なのは分かっている。
それでも去年まで抱えていた不安やストレスを考えれば、私が一人で奔走し、
そのうちぶっ倒れるか、絶対にメンタルやられるな!
と思っていたのに未だその気配は無い。


たまには旦那と逆の立場になりたいよ!


と思うが、
まあ何をやるにも『健康第一』。

私が考えている事や、思い煩っている事は、


ただの『贅沢病』なのだろう。