母と病院 | 怒涛の6年

怒涛の6年

旦那のアルコール依存症→精神科外来→離脱せん妄→借金地獄→断酒→スリップ→精神科入院→現在



以前にも書いたことがあったが、
私の母は病院が大好きである。

元の職業柄(看護師)なのか知らないが、病院と薬を絶対的に信用している。


私は子供時代から小さくて細っこかったが病気知らずのため、学校は休みたくて仕方なかった。

幼稚園の時、クラスの男の子がしょっちゅう鼻血を出している所を羨ましがり、

腕を骨折した子がいて、腕を吊っている姿を見ては
『かっこい~』と憧れ、

インフルエンザで寝込んでいた兄を見ては、羨望の眼差しを送っていた。

尤も自分が怪我をした時は大騒ぎして大変だったが、包帯をこれみよがしに見せびらかしていた。


学校に行きたくない日の朝は
『頭痛い~』と言って休もうとしても、先ずは体温を計らせられ、平熱であれば

『じゃあこれ飲んで学校行きな』
と母から言われ、ブルフェン(鎮痛剤)を渡される。

ちょっとでも風邪をひこうものなら、母は自分の勤めている職場で薬を処方し、
『薬作ってきたよ!』
と死ぬほど飲みたくない粉薬を飲まされた。

クソまずいシロップの時もあった。

インフルエンザの予防接種の日に風邪をひいて学校を休んだ時は
『ラッキー!!』と思っていたものだが、風邪が治ると早速母は

『注射持って帰ってきたから注射するよー!』
と家で注射をされた事もある。

確か20年近くも前の話しだが、
仕事から帰ると何故か私の家で、注射器を片手に待ち構えている母がいた事もある。

家の中は薬で溢れ、私も『お守り』に鎮痛剤だの胃薬だの抗生剤だのを持ち歩くように(勝手にそんな事をしてはいけません)。

流石に退職後、家から薬は減って行ったが、
母は少しでもおかしい所があれば病院へ行き、薬を貰ってくる。

父の付き添いで大きな病院へ通っていた時も
『最近どうも鼻の調子が悪い』
と言って、その病院の耳鼻科に予約を入れ、更に
『CT撮ってください』とお願いし、本当にCTを撮って来た。

結局鼻の不調は原因不明で特に問題無し。

今では
眼科、耳鼻科、内科、整形外科、歯科、をはしごして忙しそうだ。

一昨年、母はクリニックの血液検査でクレアチニンが高いと指摘され、紹介状を書かれ大学病院を受診した事がある。

クレアチニンと言えば腎臓である。

元々クレアチニンは高く、本人は多分体質だと思う、とのことだが、仕方ない。
母は大学病院に行ってきた(遠い病院には行きたくない母)

そこの、泌尿器科でエコーを撮った際、
『何か腎臓に出来ている』と診断が。

恐らく腫瘍だろう、という事で、

帰ってきた母は私や子供達を前に

『ばあちゃんね!多分ガンだと思うのよ!』

何故嬉しそうに話す!?ハッ

母は私の前に通帳とキャッシュカードを置き、

それぞれの引き落とし内容やら、暗証番号を言って来た!!

そして母は、
終活を始めたのだ。


一週間後。
大学病院へ結果を聞きに行くことに。
ついて行こうか?と聞いたが、
『いやいい』とアッサリ断られた。

結果。。

『腎臓におデキのような物は出来ているが、差し当って心配はないであろう。しばらく経過観察とする』

あれから二年。
その時以上に益々元気に、若返りさえ見られるようになった母。

もしかしたら母は、幼い頃の私と同じく

『病気』というものに変な憧れを持っているのではないかと思う今日この頃である。

しかし母の終活はまだまだ続く。