県公安委員会、「本部長が隠蔽を指示なし」との文書を発表

 

  日本の警察行政を定める法律の、

  中央と地方の輻輳性(責任or権限の所在の混在と不明朗性)が、

  この度の鹿児島県警の問題を増幅させている。

 

  県警は、誰の管理・監督下にあるのか?

 

  県知事および県公安委員会の管理下にあり(警察法第36条・地方自治法180条9)、

  県警の非違を監察できる(警察法第43条2)。

  一方、県警は、警察長官の指揮監督下にある(警察法第16条2)。

 

  ――― と。

  したがって、警察庁長官の特別監察を受けるまでもなく、

  県民の困惑と不安を解消すべく、まず動くべきは、

  鹿児島県知事および公安委員会だったろう。

 

  しかし、Wikiより引用すると、

    ・県警は、幹部人事・運営の面でも警察庁の強い影響下に置かれ、

    県警察本部長を初めとする警視正以上の階級にある幹部警察官は

    国家公安委員会が任免権を有する一般職国家公務員である地方警務官で、

    都道府県知事には任免権や懲戒権がない

    ・また、それ以外の県警察職員は、地方警察職員と呼ばれる地方公務員であるが、

    都道府県知事に任免権や懲戒権がないことは地方警務官と同様である。

    ・運営面も、広域捜査や公安捜査、警備実施 や 全国交通取締り等の全国的な警察活動は 

    警察庁が 全国の都道府県警察を指揮して行われるのが通例であり、都道府県知事に

    指揮命令権はない。

 

  と、県知事の権限は、実質的に 

  警察行政には ほとんど及ばないという、

  明治以来の中央集権体制を 今日も残存させていているのである。

  

    日本の衰退は、

  このような所(警察行政)からも、

  起きていたのではないだろうか?

  

    県知事が、

    その県民に責任を 全面的に負わなくてもよいシステムが、

    明治以来の中央集権体制なのである。

  

                        合掌

 

 

 

納得には程遠い 鹿児島県警 相次ぎ食い違う主張…「どちらが真実か」

  「組織の擁護に終始」 本部長会見にも不信深まる 県民は真相解明を求める

                 2024/06/22    南日本新聞 

 前鹿児島県警生活安全部長(60)が 情報漏えいの罪で起訴された21日、県警は定例会見で

捜査の経緯を説明した。捜査終結の区切りに映るが、県民の納得からは 程遠い。

   「 どちらが真実か 」「 組織の擁護に終始している 」-。

県内各地で 県警組織への不信や、真相解明を求める声が相次いだ。

 霧島市の女性会社員(34)は「 逮捕されるリスクを取って、県警の闇を暴こうとした被告の行為

は公益通報者として守られるべきだ 」と考える。 野川明輝本部長の説明は「 隠蔽に隠蔽を重ねて

いるように映る 」とし、「 正しいのは どちらか、法廷で真実を明らかにしてほしい 」。
 被告の前部長は 2020年から1年間、鹿屋署長を務めた。 鹿屋市北田町で電器店を営む男性(57)

は「 コロナ禍であまり接点はなかったが『正義感が強い人』との評判を聞いていた。よほどのこと

があって情報を漏らしたのでは 」とおもんぱかる。
 真っ向から対立する被告と野川本部長の主張に、枕崎市の会社員女性(33)は「 どちらが

真実なのか 」と困惑する。
女性用トイレに侵入して 女性を盗撮したとして逮捕、起訴された枕崎署の元巡査部長は、

事件後も 半年近く勤務していた。「 もし 自分が 事件や事故に遭った際、そんな人に対応されて

いたかもと思うと怖い 」
 鹿児島市の大学生男性(21)は、野川本部長の説明も説得力がなく、県警の説明責任は果たされて

いないと感じる。「 今の県警では、何かあったときに相談するか迷ってしまう。ごまかさず速やかに

解決して、二度と起こらないようにしてほしい 」と話した。

 県警の組織としての在り方にも 不信の声が上がる。

   志布志市の専念寺前住職の男性(88)は 03年の県議選を巡る公選法違反事件(志布志事件)で

無罪が確定した住民を支援する「住民の人権を考える会」の会長を務めた。今回の異常事態は

本部長が信頼されていない現れだと感じている。「 県警の会見は 組織の擁護に終始している印象

だった。自浄能力が働いていない。県民に寄り添わず 保身に走る体質は志布志事件に共通するところ

がある 」と残念がった。
 元県警警察官の男性は、警察庁の監察官が派遣される前に 野川本部長の処分が決まった点に

不信感を抱く。結論ありきでは、徹底的な検証はできない と考えているからだ。

「 うみを出し切らないと県警組織は良くならない。本部長の言い分をうのみにする形だけの検証に

ならなければいいが 」と話した。

 

 

 

 

    🔶 地方自治法 第二編 第七章 執行機関 - Wikisource

   第三款 公安委員会

    第百八十条の九

   1.公安委員会は別に法律の定めるところにより、都道府県警察を管理する。

   2.都道府県警察に、別に法律の定めるところにより、地方警務官、地方警務官以外の

    警察官その他の職員を置く。

 

   🔶   警察法 | e-Gov法令検索

     第三章 警察庁

    第一節 総則第十五条第十八条

    (長官)

     第十六条 警察庁の長は、警察庁長官とし、国家公安委員会が 内閣総理大臣の承認

      を得て、任免する

               2 警察庁長官・・・は、国家公安委員会の管理に服し、警察庁の庁務を統括し、

      所部の職員を任免し、及びその服務についてこれを統督し、並びに警察庁の所掌事務

      について、都道府県警察を 指揮監督する

    ・・・

   第四章 都道府県警察

    第一節 総則第三十六条第三十七条

    第二節 都道府県公安委員会第三十八条第四十六条の二

     第三十八条 都道府県知事の所轄の下に、都道府県公安委員会を置く

      2  都道府県公安委員会は、都、道、府・・・五人の委員・・・をもつて組織する。

      3  都道府県公安委員会は、都道府県警察を管理する。

    ・・・

     (監察の指示等)

     第四十三条の二 都道府県公安委員会は都道府県警察の事務又は都道府県警察の職員

      非違に関する監察について必要があると認めるときは、都道府県警察に対する

      第三十八条第三項の規定に基づく指示 具体的又は個別的な事項にわたるものとする

      ことができる。