このことに限らず、余りにも 世俗化している天台宗だが、

 他の仏教各派においても、大同小異である。

 

 今まで その内奥に、その根を深く張ってきた腐悪を、

 仏教衰退の この時代に、果たして 切開手術できるだろうか?

 おそらく、メスを入れて腐敗の根を取り除こうとしたら、

 その宗派丸ごと、ごっそり取り除かねばならないことになるだろう。

 

    これは、仏教存続の問題ではなく、

    結局、僧侶 或は その周辺の 経済問題になってしまうだろう。

    しかし、一般の人にとっては、

       今まで僧侶の存在でできなかったのだが、

    死というものに じかに向き合えるようになるだろう。

 

 今日 日本の仏教は、どの宗派も、

 それほどに その清新な生命力を失っているのである。

 この日本で、仏教が なおそのイノチをつなぎうるとすれば、

 既成教団の中からは、もはや 不可能だろうと思われる。

 

                       合掌

 

 

           伝統仏教での性加害事件・天台宗での調査始まる( 江川紹子氏 )            

 

 

尼僧を強姦し14年間監禁・性加害

…住職に蛮行を促し尼僧を「ロボット玩具」にした80代"生き仏"の地獄の所業 

     旧ジャニーズ事務所、ダウンタウン松本人志氏…今度は「天台宗」で醜聞発覚

             鵜飼 秀徳浄土宗僧侶/ジャーナリスト

                                          2024/03/05        PRESIDENT Online

 

天台宗の開祖・最澄も泣いている…大阿闍梨が性加害に“加担”

 「 日本仏教の母山 」として知られる天台宗(総本山・比叡山延暦寺)が、高僧の性加害をめぐって

揺れている。四国に住む住職が、尼僧を 14年間にわたって監禁、性暴行、恫喝などを繰り返していた

というのだ。 そこに、後述する 千日回峰行を達成した偉大な存在である「大阿闍梨」も関与していた

という。尼僧は 天台宗に対し、ふたりの僧侶の僧籍剝奪を求める申し立てを行った。

   天台宗は ようやく事の重大さに気づき始めたようだが、今のところは沈黙を守っている。名門教団

のガバナンス不全が、仏教界全体に及ぼす影響は計り知れない。

 

   隠蔽さんは 14年間にわたって、香川県の天台宗寺院の住職A氏から 性暴力や恫喝、監禁などを

受けていた。この加害住職を紹介し、叡敦さんを マインドコントロールし続けていたのが、同宗の

最高位「大僧正」の地位にある80代の僧侶(称号は大阿闍梨)B氏だという。B氏は千日回峰行

を達成して「生き仏」とも称される存在だ。叡敦(エイチョウ)さんは 大阿闍梨B氏に繰り返し 相談

するも、叡敦さんを助けるどころか、A氏を擁護し、事件を隠蔽し続けた。

 

   事の経緯を詳しくみていこう。 叡敦さんは、天台宗僧侶を 祖父にもつ家に生まれ、幼少期から

仏心にかった。 大阿闍梨B氏とは、叡敦さんの母が いとこ同士で、親戚関係にある。叡敦さんが

小学生の頃、B氏は 比叡山の千日回峰行を達成した。叡敦さんにとって、B氏は尊崇の極みといえる

存在となった。

 

 千日回峰行とは、およそ1000日間、比叡山の山中を、真言を唱えながら歩き回る荒行のことである。

回峰行の途中には、9日間の断食、断水、断眠、断臥を続ける 四無行に入る。仮に 行を断念という

局面には、持参している脇差で 自害しなければならない掟になっている。現代の仏教界では、もっとも

厳しい修行といえる。

   比叡山が開かれてから 千日回峰行を達成した行者は わずか51人。戦後は 14人しか満行者を出して

いない。 達成者には「 北嶺大行満大阿闍梨 」の称号が与えられる。 大阿闍梨は「 生き仏 」として

崇拝の対象となり、全国から 大勢の信者が集まる。大阿闍梨B氏は 現在、比叡山の麓の寺院の住職の

地位にあり、僧階も「大僧正」という最高位にある。

 

「私の言葉は 仏の言葉。(性加害は)仏様が おまえを救うために…」

   叡敦さんが 2009年夏、母の法事で 大阿闍梨B氏の寺を訪れた時のこと。大阿闍梨B氏は

「(一番弟子である)Aの話し相手になってやってくれ。Aは 誰よりも信用できる人間で、伝説

の男だ。Aの言うことは 私の言葉として聞くように 」などと、執拗に 叡敦さんを説得。叡敦さんは 

既婚であったが 仕方なく、A氏の寺を訪れたという。

   それをきっかけに、A氏の叡敦さんに対するストーカー行為が始まった。買い物先や自宅周辺に

出没し、叡敦さんは 困惑。そんな状況にも 大阿闍梨B氏は A氏を庇い続け、叡敦さんをA氏の元に

行くように 強引に勧め続けたという。

 

   同年秋、A氏から連絡が入った。「 頭が痛くて倒れた。食事も取れない 」などと仮病を使って

叡敦さんを寺に呼び寄せると、力ずくで 強姦。 性行為の最中には、「 オンアロリキャソワカと真言

を唱えろ!」などと言ってきたという。 A氏から強姦された後には、「 家族の人間を 薬でも飲ませて

殺してこい 」などと脅しも受けたという。

   その後、A氏からの脅迫と性加害が繰り返される。それを拒否できず、訴えることもできなかった

のは、絶対的存在である大阿闍梨Bから「 私の言葉が仏の言葉であるように、Aの言葉は仏の言葉だ。

(性的なことにしても)仏様が、おまえに 私の体を使って、おまえを救うためにやっているんだ 」

などと、諭され続けたからという。

 

   また、A氏が 野良犬にコンクリートブロックを打ち付けて殺したり、猫に 爆竹を投げつけたり

するなどの 残虐な行為を見せつけられるなどし「 A氏に逆らうことなど 恐ろしくてできなかった 」

(叡敦さん)という。

その後、軟禁状態にさせられた叡敦さんは、A氏と大阿闍梨B氏による 恫喝と脅迫が繰り返され、

また、無理やり剃髪させられて、逃げ出すこともできない状態に。 洗脳状態になった叡敦さんは、

人としての感情すら失い、「ロボット玩具」のようになっていったという。

 

   叡敦さんが 親族や女性センターなどへの SOSを発して、ようやく 寺から逃げ出すことができた

のは 2017年秋のこと。重度の複雑性PTSDとの診断を受けた。

2019年には、警察に被害届と告訴状を提出。ところが、結果的に 嫌疑不十分で不起訴になった

ことで、むしろ 大阿闍梨B氏の逆鱗に触れ、あろうことか 無理やりA氏の元に連れ戻されてしまった。

 

「(旧統一教会信者のように)マインドコントロールを受けている」

 折しも、旧統一教会問題で 世間が賑わっていた 2023年冬、親族が「(叡敦さんも 旧統一教会

信者のように)マインドコントロールを受けているに違いない 」と気づいて、叡敦さんに脱出する

よう説得。 叡敦さんは救出され、ようやく A氏の元から離れることができたという。

 マインドコントロールから解き放たれた叡敦さんは、「(A氏とB氏の)してきたことは、僧侶

として決して許されない。(両氏が所属する)天台宗において、これらの行状を詳らかにして、

二人の僧籍を剝奪してくださることを切に願います 」などと、 A氏とB大阿闍梨の懲戒を求めて

天台宗宗務総長宛に陳情書と、証拠書類を提出した。

 

 そして 3月4日、叡敦さんは 初めて、比叡山の麓にある天台宗宗務庁で聴取を受けることができた。

聞き取り調査を終えた叡敦さんは 同日午後、弁護士らと共に 滋賀県大津市内で記者会見を開き、

心境を吐露した。

 

  「(信頼する大阿闍梨B氏に対しては)とても大きくて 優しい存在だった ”仏様”が、怖い仏様に

   変わった。阿闍梨さんからは『逆らったら、地獄に落ち、親子三代にわたって幸せになれない』

   などと言われてきた。仏様に見捨てられる という気持ちで、何も考えられない状態だった。

   生きているのがつらかった。天台宗には 二人の(僧籍剝奪)処分を望んでいます。それだけです 」

 

     叡敦さんは、こう涙ながらに語った。

実は 天台宗では 2015年ごろ、長野の善光寺のトップである大勧進貫主が セクハラやパワハラ問題

が浮上。天台宗は 2018年に貫主を解任する騒ぎになっている。

それに続いて 二度目の醜聞となる 今回。 天台宗務庁は 取材に対し「 今のところは何もいえない 」

とだけ話した。組織内で、思考停止状態に陥っている と思われる。

 

   だが、今回は 善光寺のスキャンダルとは比べ物にならないほど、極めて重大な問題に発展する

可能性を秘めている。旧ジャニーズ事務所の性加害問題、あるいは お笑いコンビ「ダウンタウン」の

松本人志氏の性加害報道など、社会が性加害に対して、厳しい目を向けている。しかも、今回の

加害者は、ただの僧侶ではなく、天台宗のアイデンティティそのものといえる 千日回峰行者と、

その一番弟子だ。

   今後は 天台宗内部の調査と懲戒の判断、再発防止策の提示などを待つことになる。だが、対応の

仕方を誤れば、天台宗は 空中分解してしまうことも十分あり得るだろう。