地方を 外部資本が収奪するの図

 

ENEOSが逃がした魚はあまりに大きい!

   ローソンTOBへの参画が幻に終わったワケ

         ガソリンの三重苦 

              2024.2.17     ダイヤモンド・オンライン

 ENEOSホールディングスが、KDDIや三菱商事と共にローソンへの出資を検討していたことが

明らかになった。ENEOSにとって ローソンとの連携は どんな意味があったのか。そして 

なぜ TOBから手を引いたのか。国内外の石油業界を知る専門家が五つの論点で徹底考察する。

                                                              (桃山学院大学経営学部教授 小嶌正稔)

 

KDDI×ローソン×三菱商事のディール
ENEOSが逃がした獲物は大きかった

 通信のKDDIが コンビニエンスストアのローソンを TOB(株式公開買い付け)するニュースを

追っていて驚いた。当初は 石油元売り最大手のENEOSホールディングスも 参画する計画だった

という。 報道によると、ENEOSは 2023年12月に経営トップが解任されたため、この資本参画を

辞退したのだそうだ。三菱商事×KDDI×ENEOSの3社が ローソンを共同経営するプランは 幻に

終わった。

 石油業界を専門に研究してきた筆者からすると、ENEOSが逃がした獲物は、あまりに大きい。

しかも トップ解任の理由は 女性へのセクハラが原因の不祥事であるだけに、何とも情けない。

もし、このディールが 当初案通り成功していれば、次世代の日本を支えるビジネスモデルになって

いたはずなのに。

 

 脱炭素、電気自動車(EV)化により ENEOSは「 40年には 国内のガソリン需要が 19年比で

半減する 」と予測している。石油元売りは 自ら変わらなければ もう後がない。

 欧米では ガソリンスタンドという商売自体が すでにマイナーだ。  ガソリンは、コンビニで

売られる商品の一つとなっているからだ。これに着目したのが セブン&アイ・ホールディングスだ。

米国で コンビニ併設型ガソリンスタンドの大型買収を 次々と決断し、世間を驚かせた。

 

 コンビニは、次世代に向けた EV充電ステーション網の要になりつつある。 ENEOSにとって

ローソンとの連携は またとない大チャンスであったことは明白だ。

 なぜ、ENEOSは ローソンのTOBから手を引いたのか。それは 社長の不祥事による解任だけでなく、

ENEOSの社内事情も 大きく影響していると筆者は考える。